元彼と結婚しました【五条悟】２ -完結-

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次の日、目が覚めると

もう隣には悟さんはいなかった。

　
　

手を伸ばせばまだ少し暖かくて、

その暖かさが逆にわたしを悲しくさせる。

　


『…もっと早く起きたらよかったな』

　

それから起き上がって携帯を探していれば

悟さんが書いてくれたメモがあった。



“ おはよう、１０時に伊地知が迎えに来るから。

出張行ってくるね “
　
　

そっか、確か今日から出張って言われたんだった。
　


そのメモを呆然と見つめながら、

昨日電話で言われたことを思い出していると

薄い文字が目が入る。
　
　

『…もう１枚下に何か書いてる？』
　
　
　

そう思って紙を１枚めくると、


“ お誕生日おめでとう “


そう書いてあった。

　
　
覚えていてくれたことに

また涙が溢れ出しそうになるけど
　
　

伊地知さんが来るまでに用意を終わらさなきゃ

と顔を洗いに行けば

我慢していた涙は溢れ出した。


　

『ずるいんだっ、て…』

　
　

首元に光る小さな宝石をぎゅっと握り締めて

その場でしゃがみ込むと涙を拭う。


　

鏡の前に立ったと同時に

目に入るのは昨日までついていなかった

ネックレスで


もちろんつけてくれたのは悟さん１人しかいない。

　
　

どうして離婚して離れるのに、

こうやって思い出を増やすんだろう。


どうして忘れられなくするんだろう。
　

　

それから気まずそうにここまで迎えにきてくれた

伊地知さんは車を走らせてすぐ
　

「…少しお待ちください」


とコンビニ寄って何かを買いに行った。




カーテンを閉められて何も見えない窓を眺めていれば

伊地知さんはすぐに戻ってきて

氷とティッシュを渡してくれる。

　

「もしよろしければ…」


『…ありがとうございます。

すみません、気を遣わせてしまって』
　


鞄から出した鏡を見ると、

涙の跡に私は無意識に泣いていたらしい。



『どうしたら初恋って消せるんですかね…？』



「初恋は実らないって言いますよね…。


好きになってもらえないから

自分の思い通りにならないからといって

嫌いになるのは本当の愛ではないそうですよ。

　
ですから傷つくのも、簡単に忘れられないのも

本気だった証拠です。
　

そこまで本気だった自分を

忘れるより褒めるべきだと私は思います」
　


その言葉にまた涙が溢れ出して

すごく謝られたけど

伊地知さんのお陰で決心できた。
　


悟さんに思いを伝えてから離婚することを
　


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