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もちろん、あたしの手を引っ張ったのは美雨羅くんしかいないわけで…
あたしは不機嫌になるのを必至で抑える
そして、美雨羅くんの腕の中で抵抗する
それでも所詮、男と女の力の差は歴然だった
そうしている間に走り去って行く足音が聞こえた
そんなあたしに美雨羅くんは声を掛けるとクスリと笑う
あたしはどうして助けたのか不思議で仕方がなくて問いかけた
『どうして?』
そう言うと可愛らしく首をコテンと倒す美雨羅くん
そして、自分のせいで捕まるのは嫌だったからと言った
それから暫らく話していると美雨羅くんが不意に笑顔を見せた
それは、いつもの冷たい笑みではなくて優しく温かい笑みだった
その笑みをみてあたしは胸の奥がチクリと痛んだ
それから、胸の中から徐々に広がって行く暗くて醜い憎悪
やっぱり、あたしは何も知らない貴方が憎いです
これ以上話していると必要以上のことまで言い出してしまいそうで喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ
そして、また張り付いた笑顔を向ける
『ありがとう』
そうとだけ言うとあたしは空き教室の扉を開き足早にその場を去った
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作者名:緋泣 | 作成日時:2015年2月11日 22時