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チーノくんに抱き締められていて身動きが取れない｡
しかも､今立ち上がってる人ら以外絶対警戒してるでしょ？？
「ぅ､チーノ､離して…」
「えー？てか､ほんまに魔力ないんやな｡めっちゃ沁みる」
「…しみる？」
少し体を離してチーノを見る｡
するとチーノが頬に触ってきて､なに？？
「…ええなぁ､ほんま」
「？なにが､」
「魔力持ちって､いわゆる自分の魔力が抗体なんよ｡それの強さである程度対抗できるようになったりする」
私は何も感じないけどね｡
でも目の前のこの子がちょっと映せねぇ顔なのは分かった｡
お前まだ16だろどうした｡
「や〜…癖になりそうやわ」
「…ショッピ助けてチーノが変」
「は？」
ド低音で草｡
ショッピとチーノが火花散らしている間に､私はひとらんさんに避難させられた｡
やめて猫みたいな持ち方しないで｡
「はい､皆自己紹介」
「」
「その子死んでへん？」
とん､と下ろされたのはまだ自己紹介をしていない人達の前｡
思わず硬直したよね｡
メンタルは絹豆腐よりも脆いぞ？？
「じゃー､僕から行くめぅー」
そう言って立ち上がったのは､確か…オスマンさん？
うっわ女子より女子だ←
JK？←
「初めまして､オスマン･ビリャールです｡マンちゃんって呼んでや」
「…セルセラと申します」
「もー！固いめぅー！」
いやそんな獲物狙う目ぇされてそんな事言われても｡
多分､3年なのかな？
先輩にはちゃんと敬語で話さなきゃだから､うん｡
「マンちゃん､この子は大丈夫｡俺が保証するよ」
「…根拠は？」
「この刀｡俺が頼んでも作ってくれなかった刀匠さんのやつだよ」
見せてもらってもいい？と聞かれたので､短刀ではなく太刀の方を渡す｡
そのままひとらんさんはスラリと鞘から抜刀する｡
が､決定的に違った｡
「あれ､光ってへんやん」
「光る？」
「…少し､貸してください」
ひとらんさんが首を傾げながら私に太刀を返す｡
柄を持った瞬間､刃の部分が淡く光りだした｡
「…魔力､ないんだよね？」
「父からの話だと､持ち主となる人物の性質に反応して刃は変わる､という話でし､た…」
話しながら､注がれる熱視線から視線を逸らす｡
だって他称やべぇやつのひとのしせんだもん｡
そっちみたらぜったいだめっておそわったもん｡
「短刀も？」
「…使えるのかって感じになってます」
納刀し､短刀を出す｡
部屋を照らす照明の光で､刃の螺鈿細工は輝いていた｡
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作者名：東の番長第2号 | 作成日時：2020年8月24日 14時
