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「私は別に､君たちが悪いとは思っていない」
「あれは君たちも被害者だと言えるだろう」
「お互い､運が無かったとしか言いようがないよ」
仕方がないと､彼奴はそう言った｡
…巫山戯るな…巫山戯んなよ…！
「お前､自分が死ぬかもしれん事を､仕方がないって言うんか！？なんでそんなこと言えんねん！！」
「おいゾム止めろ！」
胸倉を掴んだ時､病院着の隙にちらりと見えた刺青のようなもの｡
右腕に出来ていた刺青のようなもの｡
俺らが､俺が刺激せんかったら出てこおへんかったかもしれんもん｡
「なんでッ…そんなん言えんねん…！」
「…何でだろうなぁ､私も分からないんだ」
ぽん､と頭に手を置かれる｡
俺よりも細くて､薄い手｡
それでも､確かに強い手｡
「本当に､君たちが悪いと思ってない｡本心だよ」
「ッ…ホンマに死んだら､んな余裕な事も言えへんねんぞ…！」
胸ぐらを掴んでいた手に､此奴の手が触れる｡
冷たい､手やった｡
「それでも､私は誰も恨まない｡恨みたくないんだよ､もう何も｡疲れるだけだからね」
「ッ…なんで､なんでや…！」
どうして､そんな優しい顔するん？
シャオロンとか､ひとらんとかに向けるみたいな､母親みたいな顔｡
愛おしいと､瞳で言っているような表情｡
「…グルッペン･フューラー｡君は許すなといったな」
「ッ､あぁ」
「それが､君たちにとっての最高の結果か？」
「…あぁ」
「そうか…なら､私は許そう」
「！？」
下を向けていた顔を彼奴に向けると､彼奴は悪戯が成功して､喜んだ時のような顔をしていた｡
「自己満足なんだろう？なら私は､君たちの目的を尽く壊してやろう｡私がここにいるのも､こうなったのも自己責任だからな」
「…」
「さてゾム､君は私に何故と聞いたな？」
ポカーンとしているグルッペンを置いて､彼奴は俺の方を見る｡
不思議な色合いの瞳と､目が合う｡
優しく細められ､目が離せなかった｡
「…聞いた」
「嘗ての私は家族も世界も怨み憎んで嫌い､そして死んだ｡けどね､愛されている､必要とされていると知ったから､そんなのどうでも良くなったんだ」
苦笑いを零して､俺の頭を撫でる｡
記憶にある､誰かが優しく撫でてくれた記憶と似ていた｡
「だから､止めたんだ｡恨むのも憎むのも」
「…あの子は､きっと満ちたから」
目を伏せて､少し淋しげに笑って呟く｡
あの子が誰かは知らん｡
けど､この声を聞いて､こいつも人間やったんやと思った｡
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東の番長第2号(プロフ) - コメント有難うございます！主人公､かっこいい…？？？頑張っていきたいと思います！！！！ (2020年8月8日 14時) (
レス) id: 4d2a866f52 (このIDを非表示/違反報告)
らっぴょこさん(プロフ) - 面白いです！主人公がカッコいい､､、！これからも頑張って下さい！応援してます！ (2020年8月8日 13時) (レス) id: c590781f3e (このIDを非表示/違反報告)
東の番長第2号(プロフ) - コメント有難うございます！はっ…(゜д゜)そうだったんですね…！30代=アラサーだと思ってました…アドバイスありがとうございます！修正しておきます…！ (2020年8月8日 6時) (レス) id: 4d2a866f52 (このIDを非表示/違反報告)
あららぎ(プロフ) - めっちゃ面白いっすね！時間忘れて読んでしまう……あの、一つ気になったんですが、アラサーは30前なので、36歳はアラフォーかな…と。突然すんません！去ります!! (2020年8月8日 0時) (レス) id: b974365cb5 (このIDを非表示/違反報告)
東の番長第2号(プロフ) - コメントありがとうございます！100文字以内だからいいんですよ(ﾆｯｺﾘ) (2020年8月6日 20時) (レス) id: 4d2a866f52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東の番長第2号 | 作成日時：2020年7月21日 15時
