17話 ページ23
夜叉サイド
ブン、ブオン
夜叉「ふぅー」
流れる汗を拭う。暑い、体が溶ける。そう思いながらも我は木刀を振り続ける。
目を覚ましてから約1週間がたった。
この一週間は色んな人が見舞いに来てくれたりとこちらも対応で忙しかったからな。
特に第三部隊として一緒に戦った、骨喰殿、清光殿、前田殿、燭台切殿、長義殿………この5人は我が倒れるところを見ているからなのかやけに体の心配をしてくる。
やれ、熱は無いだの
やれ、もう痛まないのかだの
怒涛の勢いで質問されまくったからな。兄らがいてくれて本当に助かった。
というわけで我は木刀の素振りから初めて戦闘の感を取り戻そうとしている訳だが……気分が乗らない。誰かが相手をしてくれればいいのだろうが……主殿に頼みに行くか。
思い立ったら行動。我は主殿の部屋に向けて歩き出した。
コンコンコン
国広「入っていいぞ」
夜叉「失礼する」
そう言って襖を開けるとそこには……まあ、いつも通り倒れている主殿と書類を片手に黙々と筆を進める切国兄、長義殿、長谷部殿の姿が。この光景には慣れてしまったな。
国広「ん？夜叉か。どうした」
夜叉「稽古の相手を探している」
そう言うと切国兄は、うーんと唸ると道場の使用許可をくれた。(ちなみにさっきまでは中庭で素振りをしていた)
夜叉「勝手にいいのか？」
長谷川「大丈夫だろう。主ならこのようなことで気にかけるはずがないからな」
夜叉「感謝する」
そう言って、我は審神者部屋を後にする。
道場の使用許可が降りたな。さて、誰がいるのやら。
道場に向かうとそこには、小夜殿と太鼓鐘殿、その他伊達組、江雪殿がいた。
鶴丸「おっ、君来たのか！稽古しに来たのか？」
夜叉「ああ」
そして持っていた木刀を見せ、
夜叉「稽古をしてくれ」
という。ぶっきらぼうに見えるかもしれんがこれが我のやり方だからな。言葉とは難しいものだ。
鶴丸「お、そういうことなら俺とやろうぜ」
にかと笑いながら鶴丸殿は言った。ふむ、確か鶴丸殿は第二部隊で練度は86だったな。いや、練度の差など気にしてはいられないな。
夜叉「よろしく頼む、鶴丸殿」
鶴丸「よぉーし、始めようぜ」
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作者名：リース | 作成日時：2023年3月23日 21時
