＊ ページ48
『…お菓子食べたい』
「…そういう所が乱歩に似ているな」
『乱歩とは気が合うんだ』
腕を解き、福沢はAの持ってきた和菓子を出した。
中から、薄い桜色の箱を出す。
「綺麗な包装だ」
『だろう？一押しのお店だぞ』
にこっと笑ったAは目の縁が少し赤くなっていてあどけなく見える。
「(未だ悔恨は残っているのだろうに…。成長してるな)」
福沢はAに軽く微笑み、箱を開き、皿に分けた。
可愛らしい小さな和菓子が綺麗に並んでいく。それを見てAは嬉しそうに微笑んだ。
『…諭吉、今度ボク…』
「嗚呼、行ってこい。失礼のないようにな」
『…何でもお見通し？』
「何年居ると思っている」
『…えっと…６年』
正に"以心伝心"だな、とAが云うと福沢は不思議なものだ、と云い、茶を啜った。
Aは懐からもう一度手紙を取り出して、愛おしそうに見つめる。
「(どれ程の愛を注がれて生きているんだろうか、Aは)」
福沢は和菓子を口に含み、Aを見た。
福沢は勿論であるが、探偵社の皆から絶大な信用を置かれ、また、依頼人や街の人からの絶大な人気を誇るA。
これを愛されていないと云ったら何になる。
夏目師匠もAを溺愛しているし、今は亡き両親もAをとても大切にしていたそうである。
「幸せそうだな」
『…そりゃあ幸せだ』
大切そうに懐に手紙を仕舞うと、Aは和菓子を手に取り、一口口に含んだ。
『ん、美味い』
「御前の持ってくる菓子は何時でも当たりだな」
『当たり前だろ？ボクを舐めるなよ！』
得意気に胸を張るAは事件を一瞬にして解決し、得意気にしている乱歩にとても似ていた。
福沢は箱に書かれている店の名前を確認し、今度乱歩と行く事を決めた。
『…あ。諭吉、見てみろよ』
「何だ…？…嗚呼」
Aの指先を追うと、空を見上げる形となった。
そこにあったのは、
「…綺麗な虹…だな」
『ここまで綺麗なものは見たことが無いぞ。今日はラッキーデイ、だな』
雨上がりの空に架かる綺麗な虹だった。
Aが縁側を降り、雨で濡れた庭に立って福沢を振り返った。
『有難な、諭吉』
そう云って笑ったAの背後には大きな虹が架かっていた。
「…嗚呼」
その景色はとても美しかった。
その後、二人の茶に茶柱が浮かんでいたことに気付くのは、もう少しあとの話。
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菜月羽(プロフ) - とくさん» 初めまして！貴重なご意見有難う御座います！了解致しました！ (2018年3月22日 8時) (
レス) id: 386948e46a (このIDを非表示/違反報告)
とく - 初めまして。イメージ画像は見たい人が見ると言う形にしてもらえませんか？ (2018年3月22日 6時) (レス) id: 1a488f8aaa (このIDを非表示/違反報告)
菜月羽(プロフ) - チョコレートさん» 良かったです！有難う御座います！またリクエスト有りましたら何時でも！これからも頑張らせて頂きます！ (2018年2月6日 20時) (レス) id: 386948e46a (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 菜月羽さん» めっちゃ面白かったです！！ありがとうございます！！これからも頑張って下さい！！応援してます！ (2018年2月6日 20時) (レス) id: 66cc8ffaf1 (このIDを非表示/違反報告)
菜月羽(プロフ) - チョコレートさん» 有難う御座います！頑張ります！リクエスト了解しました！ (2018年2月3日 7時) (レス) id: 386948e46a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜月羽 | 作成日時：2017年12月4日 16時
