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ミステリアスな幹部様 ページ39

薄暗い路地裏にブーツのヒールの音が響く。
銀髪の髪を、長い黒外套を翻し、Aは歩いていた。

特に用はない。
けれども今日は"予感"がしていた。

『(…そろそろか)』

そう考えた途端、正面の方から人の気配を感じた。

「…探偵社の社員がこんな所を歩いても良いのですか?」

『…クスッ、君の顔を見に来たんだよ。今日は会える予感がしてね…。な?』



『━━━━龍之介』



"龍之介"と呼ばれた青年は軽く微笑み、口を開いた。


「暫く会わないうちにあの人に似ましたね…、」



「A兄さん」



『兄さん、って呼んでもらえるまでにどれ程かかったっけな…あの時は苦労したんだぞ?』

「昔の話など覚えていません」

『…相変わらずで』

苦笑したAは芥川の頭を撫でた。

「…何のつもりですか」

『いや?弟が元気に育って嬉しくてな』

撫でられ慣れてない芥川は顔を顰めるも、抵抗はしない。Aには適わない事を随分昔に学んでいるからだ。


「…随分、柔和になりましたね」

『龍之介も昔はもっと冷たかったのにな』

「…さぁな」


少し顔を赤くした芥川を見て笑いながらAは昔を思い出していた。





『…どうした』

「いやぁ、この子の異能力が素敵なものでね」


ある日、弟の一人である太宰が連れて帰って来た一人の貧民街の少年と少女。

聞くと二人は兄妹らしい。


まるで捨て犬を連れ帰ってきたかの様に云ってのける太宰にAは軽く溜息をついた。

「………ぃ」

『ん?』

「此処に…置いて下さい…」


兄は深々と頭を下げた。それを見て妹も慌てて頭を下げる。

「本人達もこう云ってるし、ね?」

『……はぁッ…。分かった』


渋々頷いたAに顔が輝く太宰と兄妹。

『名前は?』

「…芥川龍之介」

「えっと…銀、です」

『龍之介と銀。宜しくな』


その時はこのまま素直に成長する、そう信じ切っていた。


そう、その時は。




「駄目駄目じゃないか」

「ッかはッ…ゴホッ…くっ」


『その辺にしておけ、治』


芥川を養い始めたというものの、太宰の教育は残虐で、非常に酷なものであった。

そもそも、芥川の【羅生門】が太宰の【人間失格】に適う訳がない。だがそんな事はAも太宰も、そして、芥川も承知していた。


『(このままだとポートマフィアでは生き残れない)』


昨日太宰が告げた言葉。

かなり冷たいが、仕方ない。その通りだから。


『(ボクは優しくするからな、龍之介)』


流石にここまで出来ない。

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菜月羽(プロフ) - とくさん» 初めまして!貴重なご意見有難う御座います!了解致しました! (2018年3月22日 8時) (レス) id: 386948e46a (このIDを非表示/違反報告)
とく - 初めまして。イメージ画像は見たい人が見ると言う形にしてもらえませんか? (2018年3月22日 6時) (レス) id: 1a488f8aaa (このIDを非表示/違反報告)
菜月羽(プロフ) - チョコレートさん» 良かったです!有難う御座います!またリクエスト有りましたら何時でも!これからも頑張らせて頂きます! (2018年2月6日 20時) (レス) id: 386948e46a (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 菜月羽さん» めっちゃ面白かったです!!ありがとうございます!!これからも頑張って下さい!!応援してます! (2018年2月6日 20時) (レス) id: 66cc8ffaf1 (このIDを非表示/違反報告)
菜月羽(プロフ) - チョコレートさん» 有難う御座います!頑張ります!リクエスト了解しました! (2018年2月3日 7時) (レス) id: 386948e46a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菜月羽 | 作成日時:2017年12月4日 16時

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