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『…こんなものか』
「…すげェ」
一時間後。
妖しい笑みを浮かべたAに若干怖気付いていた中也は着せられた服に感嘆の声をあげた。
「A兄さんと同じ!?」
『同じと云うより、近い服だろうな。気に入ったか?』
「うん!有難う」
満面の笑みの中也が着ているのはAが急ピッチで仕上げた服である。
初めは裁縫も出来るのか、と驚いていたが、出来上がった服の仕上がりにそんなことはどうでも良くなった。
元から持っていたベストは其の侭形は変えずに大きめな鈕に変える。
白いシンプルなシャツは太宰の物を少々拝借した。
そして、今まで肩に掛けていた黒のマント。
「…でもA兄さん。こんなに高いもん貰って良いのか?」
見兼ねたAが自分のお古の黒外套に変えてくれたのだ。
然し、先程ちらりとタグを見ると有名な高級ブランドのロゴが刻まれていた。
不安そうに見詰める中也にAはなんて事無いという顔で云った。
『此れ位平気だ。と云うよりそこまで高くないぞ』
「…いくら?」
なんでそんな事?という顔をしてAの口から外套の金額が出る。
中也は軽く目眩が起きた。
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「…俺の師匠でもあり、兄でもある人が俺が小さい時に親身になって考えてくれたんだ」
「ヘェ!素敵な人だったんですね」
中也は目を輝かせて云った立原にAを会わせてやりたいと切実に思う。
少し金銭感覚が狂っている。時々爆弾を落とし、人の為に無理をする。甘い物が無いと生きていけない。
けど、
優しくて
俺らの事を一番に考えてくれて
料理や掃除が大得意で
格好良くて、可愛くて
誰よりも仲間思いな
「…A兄さん」
「ん?何か云いましたか?」
「…クスッ、いや何でもねェ」
会いたいよ、A兄さん。
例え、敵だとしても。
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菜月羽(プロフ) - とくさん» 初めまして!貴重なご意見有難う御座います!了解致しました! (2018年3月22日 8時) (レス) id: 386948e46a (このIDを非表示/違反報告)
とく - 初めまして。イメージ画像は見たい人が見ると言う形にしてもらえませんか? (2018年3月22日 6時) (レス) id: 1a488f8aaa (このIDを非表示/違反報告)
菜月羽(プロフ) - チョコレートさん» 良かったです!有難う御座います!またリクエスト有りましたら何時でも!これからも頑張らせて頂きます! (2018年2月6日 20時) (レス) id: 386948e46a (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 菜月羽さん» めっちゃ面白かったです!!ありがとうございます!!これからも頑張って下さい!!応援してます! (2018年2月6日 20時) (レス) id: 66cc8ffaf1 (このIDを非表示/違反報告)
菜月羽(プロフ) - チョコレートさん» 有難う御座います!頑張ります!リクエスト了解しました! (2018年2月3日 7時) (レス) id: 386948e46a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜月羽 | 作成日時:2017年12月4日 16時