甘い物【探偵社編】 ページ19
『…あー…』
「どうしたんですか？A兄さん」
さっきからずっとぼうっとしているAに敦が話しかける。
話しかけられたAは無気力な色を滲ませた翡翠色の瞳を敦に向けた。
『…………足りない』
「え？」
『甘い物が足りないッ！』
ガタッと大きな音を立てて立ち上がったAに周りで眠そうにしていた社員が目を覚ます。
当の本人は頭を抱えて敦に云った。
『甘い物が足りない』
「A兄さん、甘い物大好きですもんね」
『嗚呼』
「ビミョーに話が噛み合って無いの分かってる？」
二人の収拾がつかない会話を制したのは駄菓子を片手に持っている江戸川乱歩。
彼もまた甘い物が大好きである。
「そうだ、此処で名探偵の僕から提案」
『…なんだ？』
「A兄！うずまき行こう」
提案と云うよりは誘い文句である。
然し、Aを目覚めさせるのには充分な言葉だった。
『嗚呼！確か、おばちゃんが新作を出すって云っていた！』
「やったー！」
二人は目を輝かせてうずまきへ向かおうと探偵社のドアを開ける。
が。
二人は振り向いて国木田を見た。
『「独歩／国木田ァ！！」』
『「あとは頼んだ！！」』
二人同時に叫び探偵社を出て行った。
いきなり声を掛けられた国木田は。
「…は？一寸、A兄さん！！乱歩さん！！仕事はああああああああ」
かなり可哀想であった。
「またか」
「もう恒例だねェ」
珈琲を啜っていた太宰と与謝野が苦笑交じりに云う。
その言葉に敦は首を傾げた。
「また？」
「何時もの事だよ。まぁ、甘い物が無いとさっきみたいになっちゃうからね、A兄さん」
「Aは無気力な時は何も出来ないから、乱歩さんなりの配慮なんだろうねェ。ああやってAの事を連れ出すのは普通なんだよ」
「…へぇ」
「てっきり、A兄さんの方がそういう事に配慮して連れ出すんだと思ってました」
たまたま通りかかった谷崎が口を挟む。
その言葉に敦は頷いた。
「私もそう思っていたんだけど、意外だよね」
「私も吃驚したよ」
太宰と与謝野も頷いた。
これはAと乱歩の意外な一面だ。
敦はそれを知れた事に少し嬉しくなった。
「…仕事…。でもあの二人は数々の業績が…でも、仕事あるんだぞ…」
盛り上がる敦たちの横で国木田が呟く。
「(若しかして国木田さんのストレスってA兄さん達も入ってるのかな)」
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菜月羽(プロフ) - とくさん» 初めまして！貴重なご意見有難う御座います！了解致しました！ (2018年3月22日 8時) (
レス) id: 386948e46a (このIDを非表示/違反報告)
とく - 初めまして。イメージ画像は見たい人が見ると言う形にしてもらえませんか？ (2018年3月22日 6時) (レス) id: 1a488f8aaa (このIDを非表示/違反報告)
菜月羽(プロフ) - チョコレートさん» 良かったです！有難う御座います！またリクエスト有りましたら何時でも！これからも頑張らせて頂きます！ (2018年2月6日 20時) (レス) id: 386948e46a (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 菜月羽さん» めっちゃ面白かったです！！ありがとうございます！！これからも頑張って下さい！！応援してます！ (2018年2月6日 20時) (レス) id: 66cc8ffaf1 (このIDを非表示/違反報告)
菜月羽(プロフ) - チョコレートさん» 有難う御座います！頑張ります！リクエスト了解しました！ (2018年2月3日 7時) (レス) id: 386948e46a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜月羽 | 作成日時：2017年12月4日 16時
