ほーくすちゃん[短編]

8 Akashi* ページ2

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「Aさん、今日飯行きません？」

「今日の昼飯一緒に食べようや」

「A！テーピング巻いて！！」






うちの大人気球団職員
誰もが認めるほどの
ルックスの良さに性格の良さ
非の打ち所なんて全くない





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「A、テーピングいっかな」
「健志さんちょっと待っててください」
「はーい」




若手なら誰もが狙ってる、
そう言っても過言ではない
そんなAの彼氏になって
もう1年が経とうとしてる





「甲斐くん！さっきなんだった？」
「試合終わりな。2人きりの時がいい」
「…うん」
「終わったら用具室来てな」
「分かった」






また告白されんの？
この付き合ってきた1年で
告白された、なんて
嫌な話聞くの何回目だよ




他のやつと二人きりになる
そんだけでも嫌なのに
好きって言われるなんて
最悪以外あってたまるか




「じゃあ健志さん行きましょうか」
「おう」


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医務室で二人きりになる
毎試合前のお楽しみも
今日はテンション上がんない




「ごめんね、」
「、」
「ちゃんと断るから」
「、、」





そうじゃねぇんだよ
断るのは当たり前として
"好き"って言われる事実がある



なんだったら俺みたいに
返答も待たず抱きしめる
なんてやつもいるかもしれない




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床に膝をついて
俺の足にテーピングを巻く
その額に軽くキスなんてして




「ニヤニヤすんなって」
「してない」
「してた」





この時間に額にキスをする
そんなのはザラ
今日はそんだけで終われない





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テーピングを巻き終えて
立ち上がったAを
ぎゅっと抱きしめる




「健志、？」
「…ん？」
「人来ちゃう」





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「A〜！健志終わったら来て！！」





Aを呼ぶ誰かの声
"行かなきゃ"って腕から離れて
走り出そうとした彼女の腕を
握って引き戻した





「まだ終わってない」





そう言って唇を奪って
"好きだよ"の一言を残した




「じゃ…試合頑張ってね」






「…おう」





そんなこと言われたら調子狂う



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.

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「明石！サヨナラグランドスラムです！！」





「…出来すぎだろ、」



ホームに帰って歓喜の輪に混ざる
ベンチ裏に戻ったらすぐAの元へ





「A！！」





周りの目なんか気にしてられるか
ギュッとAを抱きしめると
珍しく抱き返してくれた


もう誰にも告白させないから






(健志！付き合ってんなら言えよ！！)
(いや…)
(バレて困るならハグすんな！笑)

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