今宵ハ極悪非道ノ物語【刀剣乱舞】 (ページ3)

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第壱話【審神者トノ出会イ】ページ3

今日は日曜日なので私が掃除係の当番だった。

いつも通り神社の前を掃除していると、

あの、と遠慮がちな声をかけられた。

A「はい？」

振り返ると私より大分小さく、可愛らしい雰囲気の女性が居た。

そういえば今日は審神者が来る日だったか。この近くでは見かけない顔なので恐らく審神者だろう。

そうか此の人も今までの審神者と同じみたいに＿＿

そんな嫌な考えが脳内を巡ったが、必死で振り払い、今考えたことを悟られないためににっこりと笑顔を作った。

A「嗚呼、審神者様ですね。まだ」

続きを言おうとしたが一旦言葉を切った。

明らかに審神者の様子がおかしい。

何故か口を開け、驚きと恐怖の入り混じった色の目を見開いている。

A「どうかしましたか？」

杏「あ、あ、貴女…、なんでそんなお面を付けてるの…？」

その続きは審神者は言わなかったが、お面の下には誰にも知られてはいけないモノがあるの？と言いたげな様子が見て取れた。

私は急いでお面を外し、普通の顔であることを証明する。

A「すみません、怖がらせてしまいましたか？此の神社の決まりで女性は夜間はこの狐面をつけていなければいけないのですが、一日中付けるようにしてるんです。」

それを聞いて安心したのか審神者はよかった、と胸をなでおろした。

杏「てっきり目が一つ目の妖怪みたいな人かなって思ってたの。綺麗な女の人で安心した～。」

A「綺麗なんてそんな…でも、妖怪に間違われることはよくありますね。昼間にこんな狐面を付けて掃除している人なんて私以外、何処にもいないでしょう？」

前審神者様は私にいきなりお祓いのお札を投げつけてきたんです、と言うと審神者はそれは酷いわね、とクスクス笑った。

…今回の審神者はいい人そうだな。名前を聞くと杏という名前だということがわかった。

私は聞かれていないので名前は教えていない。教えると言霊で縛られかねないし、此の人に教える必要もない。

杏「そういえば本丸に行きたいんだけど、どうやって行けばいいの？」

A「今からですか？」

うん、と杏は頷く。……何も知らないのか、此の人は。

私は溜息をつくと不思議そうな顔をする杏に言った。

A「まだ本丸への入り口は開いてませんよ。今日の日の入り時刻は19時23分なのでそれまで散歩でもして時間を潰されてはどうです？」