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「よ!向こうでも元気してる?場地。」
「……おー。」
真ちゃんのお墓の前で座り込んでいた場地に声をかけた。
元気……には見えんワ。芭流覇羅の特攻服を着ている場地には、前までの快活さが見えない。
「その特攻服似合わなさすぎ。場地に似合うのは、黒だって。」
「あ?喧嘩売ってんのか?」
「そうじゃなくて、場地に似合うのは東卍のトップクだけだって言ってんの。」
そう言うと、場地は気まずそうに目を反らした。
「明日、だっけ?」
「…まぁな。」
「………。」
「………。」
「私を呼び出した理由は?」
気まずい沈黙を切り裂くようにして場地に問うた。
場地は、どこを見ているのかわからない目で真ちゃんのお墓に目を向けている。
しばらくして、唐突に声を発した。
「悪かった。」
「急にどした?」
「………俺があの日、一虎を止めてたらあんなことにはならなかった。」
「どーしてソレを私に言うの?」
「お前、真一郎くんのこと好きだったろ?」
俺はお前の好きな奴を殺した奴だぞ、と場地は相変わらずどこを見ているのかわからない目で、淡々とそう言った。
「そうだね。アンタがあのとき一虎を止めてたら真ちゃんは死ななかった。」
私も淡々とそう事実を述べる。残酷な物言いだが、仕方がない。事実だ。
でも……でもね、場地
「でもさ、何度も言うけどアレはただの事故だったんだ。しょうがないよ。」
「………。」
「だから私はアンタのことも一虎のことも嫌いじゃない。アンタらは優しい奴だってことも知っている。」
「お前に!!!」
ガッと肩を強く掴まれた。あまりの痛みに顔が歪む。
グリンッと無理矢理、体の向きを変えられる。目の前には、獣のようにギラギラとした目をした場地。
場地からしたら、きっと責めてくれた方が楽だったのかもしれない。
責めてくれたら、全てがチャラになるんじゃないかって。
責めたのだからお互い様ということになるんじゃないかって。
「お前に俺らの何がわかるってんだ!!?」
怖い、怖い怖い怖い怖い
一虎が怖い
目の前にいる場地が怖い
大切な友だちである2人を憎んでるのかもしれない自分が怖い
『お前、大丈夫か?』
お兄ちゃんが言った言葉を思い出した。
そっか……お兄ちゃんと場地はわかってたんだ。
私が場地と一虎を怖がってることに。
場地を目の前にするたびに、心の底で燻るナニカが勢いを増すことに。
場地……だから、アンタは私を避けてたんだね。
避けてて、くれてたんだね。
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Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️めっちゃこの物語良き過ぎます(๑•̀ㅂ•́)و✧更新されるのを楽しみにしています(*^^*)🎵𓈒𓏸 (2023年2月3日 17時) (レス) @page43 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - あ、八戒固まった、このシーン好き! (2022年11月6日 19時) (レス) @page18 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - あ、これって、あの短編にあったシーン! (2022年11月3日 13時) (レス) @page11 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 場地さんそのセリフ!!!夢主、鈍感だよって、ハロウィンのは大泣き場面やぁ…… (2022年10月30日 22時) (レス) @page7 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
巫缶(プロフ) - 違う!そういう意味じゃない!(多分) (2022年10月30日 21時) (レス) @page7 id: 926dc0c43f (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2022年10月28日 16時