58 ページ11
今日は休日。
お兄ちゃんはベッドに座りながら指の筋トレ中。私はその後ろで寝転がりながら本を読む。
「………なぁ、紬。」
「んー。」
休日ではもはや当たり前のこの穏やかな沈黙の時間。それに唐突にお兄ちゃんが声を出す。
「来週の金曜、エマの誕生日だよな。」
「そういえばそうだね。」
「………。」
「………。」
お兄ちゃんが言い出すまでエマの誕生日を忘れてたわけではない。
ただ、お兄ちゃんからエマの誕生日の話題をさせたかったのだ。
本当だったら『どうするか』っていう話題まであげさせたかったけど………お兄ちゃんの奴、こっ恥ずかしいから言いたくないのだろう。エマのことに関してはチキンだなぁこの野郎。
仕方がない。エマに何かしてあげたいという気持ちはちゃんとあるらしいし、これで合格点としといてやる。
「プレゼント、やる?」
「おう。」
返事早!!
「よーし、んじゃぁ早速準備だ。」
「もうやんのか?」
「わかってないなぁお兄ちゃん。こういうのは早くに準備しとかないと。プレゼント何するかは決めたけど用意する時間がなーーい!!なんてなったら笑えないよ。」
そう言うとお兄ちゃんは納得したという顔をした。
「じゃあ……何するよ?」
「エマはコスメとかが好きだけど………どうせならカタチとして残るモンが良いよね。」
お兄ちゃんもそれに激しく同意する。
でもエマがコスメ以外に好きなモンってなんだろう……。
「身内に聞く?」
「………役に立つんか?」
ごもっともです、はい。
でもそれ以外どうしろと。
「ふわぁ〜〜〜っおはよう、ケンチン、ツッツー。」
目の前には寝間着で頭が爆発している、どう見ても今起きたばかりとしか思えないマイキー。
やっぱエマの身内で年が近いマイキーに聞くしかない……けど、ホントに大丈夫か??
「なぁにが『おはよう』だ。」
今何時だと思ってんだ、と呆れるお兄ちゃん。
それにマイキーは『だって秋って眠くならない?』と返す。
そっか……もう秋か。
ということはこれから寒くなる……防寒できる可愛い服とか送ろう!!
でも何がいいか……コート?マフラー?ニット帽もいいなぁ。
思考に沈んでると、急に首根っこを掴まれ引き上げられた。
「帰んぞ紬!コイツに相談した俺らが馬鹿だったんだワ!」
マイキーはお兄ちゃんのカーディガンを何故か爆笑しながら掴んでいて、お兄ちゃんに首根っこを掴まれてる私と一緒に引きずられてる。カオスだ。
413人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️めっちゃこの物語良き過ぎます(๑•̀ㅂ•́)و✧更新されるのを楽しみにしています(*^^*)🎵𓈒𓏸 (2023年2月3日 17時) (レス) @page43 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - あ、八戒固まった、このシーン好き! (2022年11月6日 19時) (レス) @page18 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - あ、これって、あの短編にあったシーン! (2022年11月3日 13時) (レス) @page11 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 場地さんそのセリフ!!!夢主、鈍感だよって、ハロウィンのは大泣き場面やぁ…… (2022年10月30日 22時) (レス) @page7 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
巫缶(プロフ) - 違う!そういう意味じゃない!(多分) (2022年10月30日 21時) (レス) @page7 id: 926dc0c43f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2022年10月28日 16時