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｢お前、同じ学校だったんだな…｣
次の日、廊下でばったりと会った少年を見てそう呟く。
｢ああ、そうだな。しかも隣のクラスだゾ｣
｢こんな目立つやつ、なんで知らなかったんだ…｣
｢俺は、お前のことは知っていたぞ。名前までは知らんが｣
｢どっちだよ…｣
自分の周囲への無頓着さに呆れつつ、彼をマジマジと見る。
日本人らしいが日本人離れしたその見た目は、1度見れば忘れることは無いだろう。
そして、それから毎日のように放課後一緒に遊ぶようになった。
初めは公園で。少しずつ親睦を深めていくと、お互いの家に招いてゲームをするようになった。
その頃にはお互い、あだ名で呼び合うまでには仲良くなっていて。
｢今日こそ、勝ってみせるからな！｣
｢ふん！ゲーム下手なお前に負けるわけないだろ！！｣
｢言ったな！！｣
得意な分野になるとコンピューターよりも素早くなる彼の腕前にはなかなか勝てなくて、毎日勝負を挑むようになっていた。
しかし、頭の中にはずっと彼に対してひとつの不満というか、悩みの種が。
｢お前、本当に弱いなぁ！男ならもっといけるやろ！｣
｢はあ！？｣
そう、彼は私の事を男だと思い込んでいる。
確かに、喋り方は荒っぽいし服装も動きやすいように、ズボンにTシャツやパーカー。腕や脚の至る所に生傷が絶えなくて、絆創膏が貼ってある。
髪の毛は肩ほどまでの長さはあったが、無頓着に後ろで一本に結んでいるだけ。
同じ学年の男の子に負けず劣らずやんちゃで、どこか喧嘩っ早いところがあって、しかも、ほぼ負け知らず。
そんな日常を見てしまえば、男だと勘違いしてもおかしくはないのだが…。
どうやら、彼は周囲への興味の示し方が一般とは変わっているようだ。人の外見を見るのではなく、根本にある人間性を見ようとしてくる。
そして、私は彼のお眼鏡にかなったのだろう。
向こうから毎日のように遊びに誘ってくるのだから。でも、私はどこかもやもやとした気持ちを漠然と抱き始めていた。
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作者名：にこ† | 作成日時：2020年3月31日 10時
