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｢奇遇だな｣
｢そ、そうだね｣
若干顔をひきつらせてしまう。
いや、一応幼なじみだ。近所で出会ってしまうことは、確率的にない話ではない。
｢買い物か？｣
｢そりゃ、まあ｣
｢ふむ、久しぶりだな…。このあと時間はあるか？｣
｢なに急に｣
｢いや、アイスでも食べながら話さないかと思って。それとも、このあと用事でもあったか？｣
｢え、うん。まあ…いや…｣
｢ん？｣
｢ないです｣
｢うむ。じゃあ、すぐそこの公園にでも行くか｣
｢…はい｣
若干のデジャブを覚えながら、アイスを選ぶ。
やはりここは夏らしく、みかんのアイスにしておこう。
隣で彼も、真剣な顔をしながらアイスを選んでいる。
折角のイケメンがというか、イケメンがアイスを真剣に吟味しているという構図、なかなか面白いな。
思わずその横顔をマジマジと見つめてしまう。
｢…なんやねん｣
｢あ、ごめん。つい、面白いなと思って｣
｢別に何も面白くないやろ…｣
当の本人は、少し呆れてしまっている。
会計を済ませて、近くの公園に足を運ぶ。
初めて彼と出会った公園。その公園の日陰になっているベンチに腰を下ろす。
周りの木に止まっているアブラゼミの鳴き声が煩く、暑さを増長させる。
袋からアイスと、スポーツドリンクを取り出す。
アイスの袋を開けると、ヒヤリとした冷気を手に感じる。
｢で、急にどうしたのさ｣
今回は私から話しかけてみることにする。
｢いや、なに。大したことではないさ｣
｢ふぅん…｣
沈黙が流れる。
コイツ、自分から誘っておいてなんなんだ。
それなら私から、話題でも振ってやろうか。
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作者名：にこ† | 作成日時：2020年3月31日 10時
