【短編集】素直になりきれない【d!】 (ページ2)

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これは、私がいつも通り平穏な日常を送っていた約2ヶ月前のこと。
しとしとと一日中降り続ける雨にうんざりし始めていた、6月のこと。
窓際の自分の席に座り、頬杖をつきながらぼんやりと振り続ける雨を眺めて朝のホームルームの開始を待っていた。
ちらほらと『転校生』という、刺激を求める学生にとって、飽き飽きし始めていた学生生活に新たな刺激となるそのワードに盛り上がるクラスメイトの声が耳に届く。
そこへ、｢ホームルーム始めんぞー｣と担任がそこそこやる気のない感じで、教室へとやって来るとまばらにそれぞれ自分の席に着き始める。

｢えーっとだ、やけに耳の早いお前たちはもう知ってるだろうが、うちのクラスに転校生がやって来る｣

その担任の一言で、一気にクラス内が盛り上がり始める。
転校生はハーフらしい、金髪なんだって、高身長でモデル並みのスタイルらしい、金髪碧眼の美形らしい、とか嘘か誠か、嘘か事実か、真相が不明な噂が駆け巡る。

｢お前らうるせえぞ。そんなんじゃ教室入りづらいやろうが｣

と、担任が口の悪い感じでその場を収める。
話し声はなくなったが、どんな人なのだろうかという期待と興味が溢れるクラスメイト達の心の声が聞こえてくるようで、静かなはずなのにどこかうるささを感じる。

｢ほら、入ってきていいぞー｣

そう担任から声がかけられると、ガラ、と黒板側のドアが開く。