聞き込み ページ42
広場内に限定し、個別で聞き込みを行う。
私が声を掛けると首を傾げる人がちらほらといたが、彼らの手伝いをしていると伝えると、話を聞いてくれた。優しい。
しかし、誰からも手がかりが得られない。
何人もの人に声をかけたことで、緊張もあり少し疲れが出る。
周囲にほとんど人もいなくなる。広場の街頭に寄りかかり、ため息をひとつ着く。
シャオロンとコネシマは何か手がかりが掴めただろうか。そろそろ彼らと合流しよう。
｢あの…｣
そう思っていると、前から来た男性に声をかけられる。
｢…？私ですか…？｣
｢ええ、あの、今、聞き込みをしていたでしょう…？その、張り紙の…｣
｢はい、そうですけど…｣
そう言うと男性はほっとしたように胸を撫で下ろす。
黒髪に丸メガネを掛けた男性は、こちらに近づいてくる。
｢実は…もしかしたらその貼り紙をした人を見かけた気がするのです…｣
｢本当ですか！？｣
その言葉に思わず大きな声が出る。
｢わっ！そんな大きな声出さないでください…ビックリしたじゃないですか…｣
｢ご、ごめんなさい。つい…｣
｢いえ、いいんです。先程まで苦労されていたようですからね…｣
｢ええ、まあ…｣
はは、と乾いた笑いが漏れる。
見られていたのかという恥ずかしさもあった。
｢それで、貼ったところは見てないんですけどね…、1人の男の人が掲示板の近くに立っていて、居なくなったと思ったら、1枚張り紙が増えていたんですよ。それで、その人が大通りの方に向かっていったんです｣
｢えっと…？｣
男性の指さした方を見る。
おやつ時と言っていい時間だが、賑わう大通り。
しかし人が多すぎる。
｢それでですね、あそこの路地へ入っていくように見えたんです｣
｢？？どれですか…？｣
人が多くて路地が見えない。
｢あれです、あの、食堂の看板辺りの…｣
そう言いながら、私の背中を押し大通りの方へと歩んでいく。
｢ええと、あ。あれですか？｣
そう言って振り返ろうとした。瞬間、後頭部へと衝撃が走る。
突然の痛みに意識が途切れた。
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作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月3日 14時
