相談 ページ32
彼の行きつけだというケーキ屋に着くと、数名の列が成されていた。
恐らく、彼らの目当ても同じものなのだろう。
最後尾へと並び、開店を待つ。
ちらりと隣に立つグルッペンを見る。
周りに女性が多い事や、彼の服装のせいで怪しさが増しているような気がする。
こんな男がやってきて周りの人は驚かないのだろうか。
少し待っていると、店員さんか中から出てきて｢開店です。どうぞ｣と中へ誘導する。
最後尾に並ぶ彼を見ても特に驚いたりなどせず、むしろ、常連さんという認識のようで｢おはようございます｣と挨拶されていた。
店員さんすごい。
中に入ると、限定ケーキがポップ付きで並んでいた。
グルッペンはそれを2つと飲み物を注文した。
｢お前は何を飲む？｣
｢えっ、とでは…、アイスココアで｣
｢かしこまりました。少々お待ちください｣
慣れた手際で飲み物が注がれていく。｢お待たせしました｣とケーキと飲み物が渡される。
トレーに乗せられたそれをテラス席まで運ぶ。
ケーキはフルーツがふんだんに使われたタルトで、イチゴにオレンジ、シャインマスカットなど様々だ。
｢いただきます｣
｢いただきます｣
フォークを入れ一口サイズに切ると、乗り切らなかったフルーツがコロコロと落ちる。
こんなにフルーツがあるなんて豪華だ。だから限定品なのだなと感じる。
｢うむ、やはりここのケーキは美味いな、来てよかった｣
｢すごく美味しいですね、生地がほどよい甘さで、果物自体の甘さが際立ちますね｣
｢そうだろう、そうだろう！｣
何故かグルッペンが嬉しそうにする。
というか、なんか自然に奢られてしまったな。
…あれ？
私、彼に相談したいことがあったんだ。
｢あのっ…！｣
｢む？どうした？｣
もぐもぐとしながら返事をするグルッペン。
｢私、今日、グルッペンさんに相談したいことがありまして…｣
｢なんだ？言ってみろ｣
｢あの、私、よくよく考えたら無一文で…どうにかしてお金を得たいのですけど、どうした…｣
｢なら、俺らのところで働くか？｣
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作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月3日 14時
