【軍パロ】魅入られた瞳は2【d!】 (ページ30)

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脱走ページ30

｢んんん…、分かりました…。とりあえず理由は聴きます…｣
｢おお！！お前ならそう言ってくれると思っていたゾ！！｣

ぱあと顔を明るくし、人より少し尖った歯が見える。
しかしそんな見た目だが、まるで、無邪気な子どものように笑顔を見せていた。

｢実はだな…｣

スと重苦しい雰囲気を醸し出す。一体何があるというのだ。
私が聞いても良いことなのだろうか。
そんな疑問が頭をよぎる。

｢お気に入りの菓子屋の期間限定ケーキが今日から発売するんだ…｣

｢は？｣

いけない、つい素が出てしまった。

｢期間限定でしかも、数量限定と来ている…、今日を逃せば明日から外交だとかなんだとかの準備で追われてしまう…ならば、今日、書類を放棄してでも行かなければならないのだ…！｣
｢はあ…？｣
｢というわけで｣

｢お前も着いてきてくれ、A！！！｣

｢！！？？｣

予想外すぎて、言葉も出ない。
握られていた手をグイと引っ張られる。

｢部屋の鍵は持った、安心しろ！｣

そう言うと窓を開け放つ。
ちょっと待ってください、ここ3階。
その言葉は紡がれないまま、抱き上げられそのまま窓から飛び降りていく。

｢ふはははは！！ここからならトン氏にも気づかれまい！！｣

止めるとかトントンに知らせるとかそういった事よりも、とにかく落ちないように必死にしがみつくことしか出来なかった。