食害 ページ18
｢なんでやねん！！！！｣
連絡先を交換し終えた途端、食堂の中に特徴的な、聞き間違えることの無い大声が響いた。
｢やば｣
｢？？｣
入り口を見ると券売機の前にゾム、コネシマ、エーミールの3人。
選ぼうとしていたのはコネシマのようだが、ゾムが後ろから手を伸ばしてボタンを押していた。
｢だからオレが選ぶ言うとるやろ！！勝手に押すなや！！！｣
そういうコネシマはどこか笑っているようにも見える。
ゾムが何か言っているようで口がパクパクと動いている。
それを聞いて気を取り直して、券売機に向き直るコネシマ。
瞬間、ゾムがボタンを押す。
｢なんでやねん！！！！｣
ゾムはその反応を見て大笑いしている。
その後やっと自分で押せたコネシマだが、ゾムが押した分の券を押し付けられている。
コネシマはそれを返そうとするも直ぐに自分の分を押し、エーミールの方を振り返り、話を一切聞いていない。
エーミールが選ぶ時は特に何もしていない。
むしろ、コネシマの首根っこをつかみ逃げられないようにしている。
選び終えたエーミールと肩を組み、カウンターに向かっていく。
大笑いしているおばちゃんに対し、何やら文句を言っているコネシマ。
そして、苦笑いをしているエーミール。
その時ふらりとゾムは入り口の方へ向かっている。
ポチポチと何度かボタンを押し、発券されたものをポケットにつっこむ。
｢目、合わせへんほうがええぞ｣
チョイチョイと肩を叩かれハッとする。
動向が気になってつい、じっと見てしまった。
鬱先生の方を見ると左手で顔を隠している。その顔は青ざめている。
｢あれに見つかるとろくな目に合わへんからな…｣
そしてその目は真剣そのもの。
カウンターの方を伺いみると、ゾムは器用におそらく無理やりコネシマの分にしたトレーも抱えている。
ぶつくさと文句を言うコネシマと、相変わらず苦笑いを浮かべるエーミール。
私たちとは離れたところに座る。
そこまで見届けて鬱先生はほっと一息つく。
｢多分、見つかっとらんな…｣
｢鬱先生…あれは…？｣
｢ん？ああ、あれは俺らは食害って呼んでるんやけど…あれは完全にゾムの趣味や…巻き込まれたら最後、胃が破裂するまで食わされる…｣
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作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月3日 14時
