食堂にて ページ17
「やあ」
ニコニコと急に目の前に現れた人物に目をパチクリとさせる。
「Aちゃんもこれからお昼?」
まるで今から外に出るのがわかっていたかのように、ひょっこりと現れた鬱先生を呆然と見上げる。
「どうしたの?驚いた顔して」
急にあなたが現れたからです、なんて言葉も何故か喉につっかえて。
というか何やら喋り方に違和感がある。
「もし良かったらお昼、一緒に食べようよ」
「…はあ」
やっと出せた声はどこか間抜けで、返事として成り立ってすらいない。
が、鬱先生はやっと聞けた声に嬉しいのか、ニマニマと口角を上げる。
「ホンマ?いや、そろそろ出てくるんちゃうかなって待ってみて正解やったな。それなら一緒に行こうか」
「は…」
そっと手を握られそのまま優しく引っ張られる。
向かった先は一般兵も使う食堂。
まるで私がどこに行こうとしていたのかわかっていたかのよう。
「なんで」
「んー?何となく。さ、何食べる?」
入り口の券売機を見る。和洋折衷織り交ぜのメニューはまるで、学食を彷彿とさせる。
私は唐揚げ定食にした。
「唐揚げか!ええな。じゃあ俺は…」
と言ってカレーを選んでいた。
カウンターに行く途中、鬱先生に気づいた兵士たちが敬礼をする。
それにひらひらと手を振り応答する鬱先生。
なんだかアイドルみたい。
食堂のおばちゃんが「鬱さん、久しぶりやねぇ」とニコニコと対応している。
「マダム・アンネ。久しぶりにここで食べるのもええかなぁって」
「あら、お隣の。お嬢ちゃんが噂のお客様ね?うちのご飯はどれも絶品やで」
それはもうニコニコと、嬉しそうに、楽しそうに、気さくに話しかけてくれる。少しほっとした。
それぞれの券を渡し、トレーに乗せられた食事を受け取る。
窓際の空いている席に座る。
「なあ、Aちゃん」
「なんですか?」
食事をしているとふいに鬱先生の方から声がかけられる。
「スマホ貰ったんやろ?俺とも交換しよ?」
何故彼が知っているのだ。
「ふふ、不思議そうやな。いやな、ゾムが嬉しそーに廊下歩いてたからなんやろなぁ思って聞いてみたら、はぐらかされたんやけど、そうするってことは、Aちゃん関連かなあって」
当たってる?と、問われコクリと頷くしかなった。
「お、俺天才!いやあ、一目あった時にLI〇Eやってる?って聞いたの覚えとう?ついに実現したな」
ニコニコと笑う彼と連絡先を交換する。
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作者名:にこ† | 作成日時:2019年10月3日 14時