こんなに体力がないとは ページ13
色々レクチャーされてから、外に出る。
よく晴れており、日差しが眩しい。
｢まあ無理せんといて、辛かったらすぐ言ってな｣
そうロボロに念を押される。
並んで基地内を走る。
草木の揺れる音に、どこからが香る花の匂い。
走っていても飽きのこない、風景の移り変わり。
離れの兵舎から、訓練中の兵士の声。
｢広いやろ。ここ｣
隣を走るロボロがそう呟く。真っ直ぐ前を見ているのか、面布に隠れた目線とはあっていない気がする。
｢はい、とても｣
こちらは少し息がきれ始めているのだが、彼は全くといっていいほど整っている。流石だ。
一方、進めば進むほど息が荒れてくる私。
｢マジで、無理せんくてええんやからな…？｣
心配そうに声をかけてくれる。
しかし、1日目。昨日、ドタキャンのようにしてしまったのだから、頑張らなければ。
｢い、え。大丈、夫、です｣
途切れ途切れに返事をする。
｢いや、ホンマに！また倒れたら、今度こそ本気でペ神に怒られるで！！｣
慌てたようにしてこちらに顔を向ける。
｢それに、『なに、無理させとんのや』って俺も怒られてまう…し、自分の身に嫌な予感しかせえへんのや…｣
｢ああ…｣
何となく、何度か重ねたしんぺい神との会話に、彼の感じた予感というものに思い当たる節を感じた。
それに確かに、しんぺい神にはお世話になりすぎている。そろそろ本気で怒られてしまいそうなので、程々にしなければ。
｢じゃ、あ。一周したら、ちょっと、リタイア、ということ、で…｣
｢うん、ええよ。無理せんでな｣
いいですか、と聞く前に先に了解を得る。
ぺこりと頭を下げ、残りの距離を走る。
｢お、終わった…｣
走りきると同時に、地面に倒れ込む。芝生がふかふかとしていて気持ちがいい。
｢お疲れさん、これ、ドリンク。飲んでしっかり体休めとき｣
そう言って飲み物の入ったボトルを渡される。
｢あ…、ありがとうございます｣
息を整えながら、それを受け取る。
1口飲むと程よい甘みにスポーツドリンクのそれを思い出す。
そして、それを見るとロボロは｢俺はもうちょい走ってくわ｣と言ってまた周りを走り始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月3日 14時
