お誘い ページ2
｢ついには、自宅にまで押しかけてきて…さすがに迷惑でしたね…。なんでそんなに誘ってくるんだ！ってつい怒鳴ってしまいました。なのに彼は笑うんですよ。『お前がいいんだ』って｣
話しながらコロコロと変わる表情。
思ってること、考えていること、全てが顔に現れているようだ。
｢全く困った友人ですよね。流石にそんなにグルッペンさんを見たら、もう断れなくなってしまって…。だから、私は大学を辞めてここに来たんです｣
ふふ、と笑う。
｢まあ…それはそれで、私の研究室に足繁く通っていた1人の学生に、凄い止められましたね。『先生に何ができるんですか』って。結構辛辣ですよね…。確かにできることと言えば、図書館の管理と知略を働かせること、あとは爆弾作りくらいですよ｣
｢…十分じゃないですか？｣
｢え？｣
｢だって、グルッペンさんはエーミールさんのその力を信じているから、誘ってきたんじゃないんですか？それなら、そのままのエーミールさんでいるべきです｣
｢…と、思います…｣
そこまで言って、失礼なことを言ってしまったのではないかと思い言葉を付け足す。
そんな私を見てか、少し笑うと、ふわりとしたほほ笑みを浮かべる。
｢そうですね、Aさんの言う通りだと思います。グルッペンさんだって、そうなのだと思いますよ。自惚れかもしれませんがね…｣
へへ、と鼻下に指を当て少し恥ずかしそうに笑う。
そんなエーミールを見て、もっと話しをしたいと思った。
彼はどんな話を、どんな表情を見せてくれながら、聞かせてくれるのだろう。
｢エーミールさんは、大学で何を教えていたんですか？｣
｢主に歴史や政治についてですね。時々、哲学についても話をしたりしていました｣
｢歴史…｣
｢お好きですか？もし…、もし、Aさんが良ければ、我々国の歴史でもお教えしましょうか？｣
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作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月3日 14時
