紫煙と ページ7
｢ん…｣
朦朧とした意識から覚醒し、ゆっくりと目を開く。
｢あ。目、覚めました？｣
そこには、私を見下ろすバイオレットの瞳。
ショッピだ。
なんで私の目の前に。
体を起こそうとすると、｢まだ、寝てる方がいいっすよ｣と制止される。
ふと、左手首に違和感を覚え視線をやると点滴が刺さっている。
｢昨日の夜、連絡通路前で倒れたんすよ｣
そう告げるショッピ。
どこかつまらなさそうにも不愉快そうにも感じる表情。
｢…ごめんなさい｣
｢別に、謝ることじゃないですよ。理由は大方察してるんで｣
そう言われ、う、と声が漏れる。
｢にしても、脱水になるまで風呂に入ってるって、何してたんすか｣
顔色一つ変えずにそう聞いてくるショッピに、怖気づきながら、ポツポツと答える。
｢その、気づいたら、寝て、ました｣
｢ふはっ…、アホすか？｣
｢ひ…｣
ど、と言葉が出かけるが、言われても仕方がないと思い、途中で飲み込む。
｢言いたいことあるなら、はっきり言ってくださいよ｣
トゲのある言葉。彼がこちらに敵意を向けているのは確実だろう。
では何故、私を医務室に運んでくれたのだろうか。
私の表情から考えを読み取ったのか、さらにムスッとした顔をするショッピ。
｢あんな所に倒れられて、手遅れになられてもこっちが困るんで。アンタ一応、客人として迎え入れられてるんやし｣
そう言われ、それもそうだと納得する。
申しわけなさで縮こまると、はあ、とため息をつかれた。
｢アンタ、忘れたんすか？｣
トントンと己の右耳を叩いてみせてくるショッピ。
疑問に思い、自分自身の右耳に触れると、指に伝わる機械の冷たさ。
｢あ｣
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作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月3日 14時
