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後悔なんて無いはずだった ページ42

何もない空間だった。

右も左も、前も後ろもわからない真っ暗な空間。

(ここどこ・・・?
私もしかして死んだ?だとしたらここは地獄か?)
?「京。」

誰かに名前を呼ばれた。後ろを見ると、何も見えない空間の中、彼女だけハッキリと見えていた。

「母さん・・・。」
母「久しぶりね、京。」

顔がニヤけるのがわかった。
母さんだ・・・6年ぶりの母さんだ。

(母さんって、こんな声だったんだ。)

母さんの存在を忘れたことなんて一度もない。でも、どんな顔だったのか、どんな声だったのか、見るまでは、聞くまでは思い出せなかった。写真とかもろくに無かったし。

母さんに歩み寄ろうとした。でも、

母「今ならまだ間に合うわ。早く戻りなさい。
まだ、やらないといけないことがあるでしょ?」

戻る?母さんを置いて?
そんなこと、するわけないじゃんか。

「大丈夫だよ、母さん。
武道がいるんだもん。武道がいるだけで、未来は変わる。
私のやるべきことは終わったよ。もう後悔なんてない。だって、大事な妹を守れたんだもん。」

母「違うわ!京は京のやりたいことをやりきっていない!!
それが一番大事なことでしょう?!!」

息を呑んだ。
母さんの怒鳴り声を初めて聞いたんだ。

母「京は、後悔なんてない?」
「・・・ないよ。」
母「そう・・・。
私は、あるわ。」

京や武道の晴れ姿を見たかった

二人をこの手で育てたかった

間違ったことをしている時は叱ってあげたかった

3人でどこかに出かけて思いっきりはしゃぎたかった

母「二人のことを、ギュッて抱きしめたかった。」

ホロリと涙がこぼれた。

後悔なく死ぬ人間なんていない
みんな誰かしら後悔がある

自分はなんて無神経だったんだろう。こんなに後悔だらけの母さんに、「死んで後悔なんてない」なんて・・・。

(もし、私と母さんの立場が変えることができたら、)

母「でも今では、死んで良かったと思う。
こうして京を帰すことができるからね。」

母さんはどこまでも母さんだった。

母「あるでしょ?」
「・・・うん!」

強く頷くと、母さんはフワリと微笑んだ。
私の手首と誰かの手首を掴んで、繋ぎ合わせる。

母「じゃあね、京。当分の間はこっちに来ちゃ駄目よ。」

母さんに背中を押される。
初めて、母さんに背中を押してもらった。

母「ありがとう。こんな私でも、京の背を押せたわ。」

ありがとう、母さん

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未雪姫 - なんて神作作ってくれちゃったんですか⁈ありがとうございます、後世に語り繋ぎます。 (6月13日 21時) (レス) @page48 id: 2caf6a868c (このIDを非表示/違反報告)
朝はパンよりご飯派 - うぅ殴り潰したい程素敵なハッピーエンド途中感動で涙が、、、うぅ本当にお疲れ様でしダァ(´;Д;`) (2022年8月23日 1時) (レス) @page48 id: 913863b25c (このIDを非表示/違反報告)
Yona - ああああああ!!!素晴らしいハッピーエンドだぁぁ!!神作品ありがとうございます!本誌もこんなだったらいいのにー!わー!!(語彙力低下中) (2022年8月13日 14時) (レス) @page48 id: ca15e254da (このIDを非表示/違反報告)
Ⓜ︎さん - 完璧なハッピーエンド!感動です!!お幸せに! (2022年8月12日 17時) (レス) @page46 id: a6ddf4ad2b (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - やっはり、場地さんもかぁ。京さんやだよぉ〜 (2022年8月10日 19時) (レス) @page36 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2022年8月1日 20時

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