わたしはテレビを見ない。 (ページ12)

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○ . 帰っちゃダメだからねページ12

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目「……どしたの？」

今わたしは蓮の部屋にいる。

『ヒマだったから来てみた』
目「会いたくなった？」
『聞いてなかった？ヒマだったから来てみたんだけど』

ヒマは事実。会いたかったというより、
なんかちょっと心配になっただけ。

お人好しすぎるよね。

しかもアイドルの家に上がり込んでさ…

『昨日ふっかと会ったよ』
目「え？」
『撮影あったんでしょ？その帰りにね』
目「あー、そうなんだ。びっくりした。
待ち合わせて会ったんだと思った」

そんなわけないじゃん、と言うと
ちょっと安心したような顔をする蓮。

わたしがあまりにもSnow Manを知らな過ぎるので
YouTubeや雑誌を見ながら蓮が細かく教えてくれた。

すのちゅーぶは本当に面白くて
お腹抱えて笑ったし、
雑誌のインタビューや写真を食い入るように魅入ったし。
知れば知るほど楽しいグループなんだなって。

そう思った。

気が付けば外は真っ暗になっていて、
時計に目をやればもう7時。
飲まず食わずで盛り上がってしまった。

ちょっと姿勢を直そうと立ち上がると、蓮が急にわたしの腕を掴んだ。

『ちょ、何。どうした？』

あまりにも急だったからびっくりしてまた座ってしまう。

目「……帰るの？」

『いやずっと座りっぱなしだったから立とうかなって』

すると蓮は「なんだ」と言って腕から手を離す。

…帰って欲しくないのかな。

『お腹空いてない？』
目「そういやめっちゃ減ってるわ」
『コンビニにでも買い出し行こっか…ってごめん、
2人で行ったら危ないね。わたしが行ってくる』

カバンをゴソゴソし始めると、

目「いや、俺が行くよ。リクエストある？」

そう言いながらスマホと鍵だけ持って支度をする蓮。
わたしは手を止めてうーんと悩み、『パスタなら何でもいいや』と託す。

玄関に向かう蓮の背中をぼーっと見てると、

目「帰っちゃダメだからね」

そう呟いた蓮はこちらの方を見ずに外へ出て行った。