第七話 ページ8
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「あ、電気死んだ」
唐突にそう言うトムラさん、私はお皿を拭く手を止め、トムラさんの視線を追った。トムラさんがスイッチをぱちぱち押すけれど、いつもなら煌々と光っている丸い電球はうんともすんとも言わずにソファの上にぶら下がっている。
「いま買ってきましょうか？ ちょうどお皿洗いも終わりましたし」
時刻は午後三時を過ぎた昼下がり、これと言って特に仕事を言われていない私は、何故か時折ボロボロに破れているトムラさんの服を縫わせてもらおうかなと思っていたところだった。黒霧さんはそうですね、と言うとその高い身長を活かしてキュルキュルと電球を取ってくれた。
「これと同じものを買ってきて頂きましょうか。ここから一番近いのは……」
「ショッピングモールの併設の電気屋さんですかね？ 行ったことないですが、場所なら分かります」
私は鞄に電球を入れると、黒霧さんからお金の入った封筒を受け取った。そこには明らかに電球を買うのには不必要な程の大金が入っていたので驚いた。随分と信用されたもんだ。
「それじゃあ、なるべく早く帰ってきます」
「おい、待て」
ふと、気がついたら黒いパーカーを着ていたトムラさんが私のすぐ後ろに立っていたので、私は小さくひぇっと声を上げる。
「俺も行く」
「死柄木弔、貴方も行くんですか？」
準備万端らしいトムラさんに少し不思議そうな声をかけた黒霧さん、私も驚いて目をぱちくりさせた。トムラさんはいつも部屋でごろごろしているから、外に出かけたりするのがあまり好きではないと思っていたのだ。
トムラさんは黒霧さんに顔を向け、私には親指の先を向けると、馬鹿にするように言った。
「誘拐されるだろ、こいつ一人だと」
「えっ！ ちょ、トムラさん、私そんなに頼りないですか？」
「……そうですね、花房さんお一人だと万が一のとき大変ですね」
「えぇっ？！ 黒霧さんも？！」
トムラさんはフードを被ると、未だ子供扱いされたことにショックを受ける私の手首をそっと、何故か卵を握るみたいにそっと握り、自分の方に引っ張った。
「うるせぇ、良いから行くぞ」
トムラさんは扉を開くと、もたつく私を引きずりながら、穏やかで明るい光の下に足を踏み出した。
ドアが閉まる寸前、どこか嬉しそうな黒霧さんの姿を見た気がしたけれど、すぐに太陽で目が眩んだから、気のせいかもしれない。
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ちゃこ(プロフ) - うぅ…好きです！！今なら私も花咲かせられそうです😭！前から気になっていた弔くん…無事推しになりましたありがとうございます！！ (2022年5月25日 5時) (
レス) @page50 id: e4e61dc8c5 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 完結おめでとうございます！最高でした！ (2020年8月18日 1時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
弥生 - はなかっぱ… (2020年2月4日 3時) (レス) id: 86c077b51d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - すごく良かったです！！！死柄木君の小説は初めてだったんですけど、もう最高すぎました！！ (2019年11月5日 22時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - 完結おめでとうございます！最後までキュンキュンさせていただきました！！ 占ツクを徘徊していた時に、とんでもなく良いこの作品を見つけてからは、ずっと応援していました(´ω`*) もちろんこれからも応援しています、頑張ってください！！ (2019年8月25日 22時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりんの木
| 作成日時：2019年6月13日 19時
