第十三話 ページ14
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「おや……なにやら今日は雰囲気がいつもと違うようですね」
床の拭き掃除の最中、黒霧さんにそんなことを言われたので私は不思議に思って顔を上げた。首を傾けてみると、黒霧さんは、あぁなるほど、とつぶやいた。
「今日はリボンをつけていらっしゃるのですね」
黒霧さんはカップを拭く手を止め、柔らかく目を細めた。私はぽっと頬に熱が集まるのを感じて、弾かれたようにリボンに触れた。そして不自然に視線を右往左往して、へらりと笑った。
「トムラさんが買ってくださったんです」
私の手に触れる柔らかな布の感触。それは先日、トムラさんとショッピングモールに行ったときに買ってもらったリボンのものだった。
偶然見かけた白いリボン、それが似合うと言われてタジタジになる私に、押し付けるように買ってくれたトムラさんは、今日はまだ見当たらなかった。
「そうですかそうですか、死柄木弔もなかなか見る目があるようで」
黒霧さんは朗らかに笑うと、どこかほんの少しだけ真剣な眼差しを私に向けた。
「とても、可愛いですよ」
やけに真剣にそう言うので、私はいよいよ顔が火事になったみたいに赤くなってしまう。こんなに真っ向から褒められた経験が無いので、上手に返事を返せない。恥ずかしくて恥ずかしくてしょうがない。
「……あ、ありがとうございます」
結果、私は頬を真っ赤に染めながら俯いて、そう呟くことしかできなかった。クスクス笑う黒霧さんが近寄ってきて、私の頭に咲いた一枚の黄色い花びらを見せてきた。黄色、私がほめられて喜んでるのがバレた！
「ちょ、黒霧さん！ 恥ずかしいので見なかったことにしてくださいっ！」
「ふふふ、残念ながらそのお願いは聞けませんね。これは記念に頂きます」
私が花びらを奪おうにも、背の高い黒霧さんに上に持ち上げられてしまっては、飛ぼうが跳ねようが無駄である。
「＿＿何やってんだ？」
と、奮闘する私の肩をつかむ、寝起きの不機嫌そうな声の持ち主、トムラさんだ。黒霧さんの手に握られた花びらを見てなお一層不機嫌そうに眉を寄せる。も、私の頭に揺れる白い布が飾られているのを見て、目を緩めた。
「思ったより……いいじゃん」
低く囁くような、どこか当然のような声の調子に私は冷めかけていた熱が再びぼっと頬に集まった。そして頭から満開の黄色の花が咲く。
おや、と呟く黒霧さん。照れる私に、トムラさんだけが良くわかっていないようで、首を傾げていた。
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ちゃこ(プロフ) - うぅ…好きです！！今なら私も花咲かせられそうです😭！前から気になっていた弔くん…無事推しになりましたありがとうございます！！ (2022年5月25日 5時) (
レス) @page50 id: e4e61dc8c5 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 完結おめでとうございます！最高でした！ (2020年8月18日 1時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
弥生 - はなかっぱ… (2020年2月4日 3時) (レス) id: 86c077b51d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - すごく良かったです！！！死柄木君の小説は初めてだったんですけど、もう最高すぎました！！ (2019年11月5日 22時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - 完結おめでとうございます！最後までキュンキュンさせていただきました！！ 占ツクを徘徊していた時に、とんでもなく良いこの作品を見つけてからは、ずっと応援していました(´ω`*) もちろんこれからも応援しています、頑張ってください！！ (2019年8月25日 22時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりんの木
| 作成日時：2019年6月13日 19時
