第一話 ページ2
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きっかけは、一枚の求人の張り紙だった。
風に飛ばされてしまったのだろう、道のはじによれよれで落ちていたその紙に私が気がついたのは、偶然か否か。少なくとも、その張り紙がとても好条件かつ高収入なアルバイトであることが分かった私は、さして疑うこともせず、その張り紙の連絡先に電話を入れたのだった。
ちなみに、そのアルバイト、電話をしただけで即採用された。
私は自分に運が傾いているなと思った。なぜなら、その時私は新しい本が欲しかったのだけど、お金が無くて、短期間のアルバイトをちょうど探していたのだ。
「お名前と個性、よろしくお願いします」
「花房Aと申します。個性は開花です。感情が高まると、頭のてっぺんから花が咲きます」
自己紹介とともに頭を下げると、黒いもやもやとした霧の中に浮かぶ瞳が細められた。
「花房さん、よろしくお願いします」
頭からふってきた柔和な声にすっかり気を許してしまった私は、黒霧と名乗る彼にへらっと笑いかけた。黒霧さんは少し不思議そうにじっと私を見ていたけれど、ふっと目をそらした。
仕事内容は単純明快だった。
私はいわゆる家政婦さんで、このバーのようなつくりのフロアとその奥の私室の管理をするらしい。平日に一度と休日にここへ来て、掃除洗濯料理もろもろ……頼まれたことをするらしい。
家事は得意だから良かった。休日が無くなるかもしれないけど、もとより遊ぶことなんて出来ないもの。節約中だから。
最初の一週間、私はバー(か分からないけど、とりあえずバーと呼ぼう)にて黒霧さん以外の人と会わなかった。黒霧さんは時折私の様子を見に来ては、ふっと姿を消してしまう。いつも品の良いピシッとした服を着ているけれど、バーのマスターさんなのだろうか。
「黒霧さんはここのバーのマスターなんですか？」
私が床の拭き掃除をしながらたずねたら、黒霧さんは怪しげに目を細めるだけで、それ以上は何も言わなかった。なるほど、深く聞かないほうが良いらしい。
にしても、不思議だ。このバーに人の出入りの気配はないのに、いつも何かしらゴミが散らかっている。以前にはビリビリに刻まれた写真があり、今は机の上にトランプが散乱している。
誰だろう、この部屋を汚している人は。
なんて、興味は持つけれど、口に出して聞くこともできず、あやふやなまま一週間が過ぎたのだった。
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ちゃこ(プロフ) - うぅ…好きです！！今なら私も花咲かせられそうです😭！前から気になっていた弔くん…無事推しになりましたありがとうございます！！ (2022年5月25日 5時) (
レス) @page50 id: e4e61dc8c5 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 完結おめでとうございます！最高でした！ (2020年8月18日 1時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
弥生 - はなかっぱ… (2020年2月4日 3時) (レス) id: 86c077b51d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - すごく良かったです！！！死柄木君の小説は初めてだったんですけど、もう最高すぎました！！ (2019年11月5日 22時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - 完結おめでとうございます！最後までキュンキュンさせていただきました！！ 占ツクを徘徊していた時に、とんでもなく良いこの作品を見つけてからは、ずっと応援していました(´ω`*) もちろんこれからも応援しています、頑張ってください！！ (2019年8月25日 22時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりんの木
| 作成日時：2019年6月13日 19時
