伍拾肆ノ破壊【異能力?】 ページ6
_No side_
鎖は簡単に解れないのと同じように、その言葉は簡単には消えない。
死の直前、任務の終了時、寝る数秒前にも同じ言葉を思い出し、繰り返す。食を進めている時も例外ではない。【生きる】という行為の大部分をしている時、必ずこの言葉が頭に流れる。
まるでA自信が自らの命を否定しているかのように…。
だが、あの言葉を聞くと眉間に皺が寄ってしまう。険悪そうな顔でその言葉を聞き流してしまうのだ。そして、条件を満たしてしまう。
それを制御しつつ耐え続け、溜息の絶えない日が多くなった。
彼女の中の得体の知れぬその能力は、【異能力】であった。Aも薄々気付いていたが、悟られてはなるまいと隠していた。それが正しいのか、不確定な情報を教える程、甘くないのだ。
それに彼女のそれが異能力だった場合、可笑しな点が生じる。
一つ、条件を満たさなければ発動しないこと
二つ、ポートマフィアがそれを知らないこと
三つ、太宰の異能無効化が効かないこと
二つ目までなら納得が行く。だが太宰の異能無効化には例外はない。異能力者にとって一番の脅威といっても過言ではないだろう。
それがAには効かないのだ。故にそれまで納得がいかなかった。これが本当に【異能力】であるのかを。
A「………(…条件を満たしていなければ遣えない異能力…だとしたら、相当失敗作ですね…)」
Aは結局死ねなかった。毒は全身に廻っている筈なのに。面倒な条件満たしでまたしても死ねない。Aは大きく溜息を吐いた。
するとその時___!
部屋の扉が急に開いた。Aは体制を変え扉に向かう。するとそこには兄である太宰の姿が。
太宰「…深手って聞いたんだけど、嘘?そこまでして心配して欲しいの?あーあ。死んでる姿納めに来たのにさぁ無駄足じゃん。」
嫌味かのように云いに来ただけの太宰に眉間の皺が寄る。ここで怒っては行けないと知りながら、感情は歯止めを聞かせない。
A「…申し訳ありません」
太宰「……ねぇ、その小瓶だけなんで濯いであるの…微量に色違うし……これ、毒?
……答えてよ」
太宰「…………そんなに頭悪いとか」
太宰は腹を立てて倒れた小瓶をAに投げた。Aはそれを顔面に受け、その白い顔から真っ赤な血が流れてきた。
太宰はそれを見た。だがその傷はみるみるうちに再生していく。
太宰はそれを見て目を見開くことしか出来なかった。
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作者名:匿名F | 作成日時:2022年3月6日 20時