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漆拾肆ノ破壊【死にたくなるように】 ページ26

_A side_

段々傷口も治ってくる。それに、彼は驚いていたようだった。

だが、再生は流れ落ちた血までは戻せない。故に常日頃貧血である私だ。それに今日も庖丁(ナイフ)で首筋切りましたし。

まぁ、慣れているから平気ですが。


太宰「……やっぱ異能力者か。なら君を刺した時僕が君に触れていればよかったわけだ。でも君なんかには触れたくないし……。よかったね、君は死なないよ。唯……死ぬほど苦しめる、君が死にたくなるようにしてあげるよ」


そう残して、彼は部屋から出ていった。


死にたくなるように……ですか。実際私は死にたいはずだった。だが先刻生きたいと願った。それは……七篠の願いを叶える為に。


七篠はもう居ない。なら……私は何時までコレに縛られ生きていなければいけないの?

私は……何時になれば死ねる?


太宰「忘れてた。安心しなよ、君には生きる意味なんてないから。七篠名無…彼が何と云い残したかは知らないけど、君に彼の願いを叶えることは出来ない。」


彼が扉を開けてそう残す。また直ぐに部屋を出ていく。


嗚呼……そうですか。彼の云う事は現実となる。彼と共に長年生きてきた故判る事。その彼が云った。



─"君に彼の願いを叶えることは出来ない"─



七篠が私に何を託しても、彼がそう云うならそうなのかもしれない。私は、七篠の願いを無下にすることしか出来ない。

恩人の最期の願いすら守れず……私の生に、なんの意味がある?否、それも先刻云っていた。



─"君に生きる意味なんてないから"─




嗚呼、その通りです。私は……、私が七篠の代わりに死ねば、凡て思い通りに行くはずだった。






私がいなければ……よかったんだ。



不意に昔云われたことを思い出した。それは、彼……太宰治が毎日の様に云ってきた言葉だ。



──「君が生きて何になる?」──


──「君が生きても酸素の無駄だ」──






──「君を妹だと思うことなんてない」──



ごめんなさい、七篠。


私は






貴方の願いを叶えることは出来ません。

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作者名:匿名F | 作成日時:2022年3月6日 20時

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