▽ ページ32
.
え……？
隼｢お嬢さまっ！｣
貴｢ひゃっ…｣
私の名前を呼ぶ誰かの声が聞こえたのと同時に、目の前にいた隼に腕をグッと引かれ。
ぼすん、と思いっきり彼の腕の中に飛び込んだ。
その瞬間。
パンッ！
貴｢ぇ……｣
耳元で破裂音が聞こえて、そのゴツゴツした隼の腕から逃げるように身をよじると。
貴｢お、み……｣
臣｢……っ｣
耳元にあったのは、臣の手。
そして床に落ちた一本の矢。
それを見た瞬間。
さっき私の名前を叫んだのは、臣だったんだって理解して。
臣｢…ってぇ｣
貴｢臣…っ？｣
矢が直撃したらしい腕を体に寄せ、うずくまる臣にそっと近づく。
…けど。
伶｢臣っ！！｣
私よりも先に、臣に触れたのは鷲尾さんで。
伶｢大丈夫っ、すぐに運ぶから｣
臣｢…すいません｣
伶｢たまには頼って｣
険しい表情でそう語りかける鷲尾さん。
その表情からは、普段のお嬢さま姿が思い浮かばなくて。
うずくまる臣の額からは、痛さのせいか じんわりと汗が滲み出ていた。
杏｢ごっ、ごめん…なさい…っ｣
みんなが臣の方を見ている中で、一人 か細い声を出した杏香。
振り向くと、明らかに口元がひきつっている彼女。
その姿は、まるで小さな女の子みたいに か弱くて。
弓を握りしめ ごめんなさいと言いながら道場から出ていった杏香を、ELLYさんが待って！と叫びながら追いかけていった。
杏香とELLYさんがいなくなった道場。
シーンと静まり返るその場に響く、私の声。
貴｢…なんで｣
隼｢え？｣
貴｢なんで、杏香泣いてたの？｣
どうして杏香が泣きながら出ていったのかが分からなくて、誰か理由を知ってるんじゃないかと思って 周りを見渡せば。
岩｢あの子の放った矢が、跳ね返ったんですよ｣
白目を剥きながら倒れる健二郎さんに腕を伸ばし、抱きかかえながら そう呟いた岩田さん。
跳ね返った…？
杏香の放った矢が？
貴｢私、のじゃ…｣
楓｢Aちゃんのではないよ。私ちゃんと見てたから｣
貴｢でも……っ｣
楓ちゃんの言葉に食いつく私を、やめなと隼が押さえつける。
どうして…。
放った矢が、跳ね返って ここまで来ることってあるの？
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 555人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
〇〇(プロフ) - この3章泣けました｡龍友くんが夏恋ちゃんに好きだったって言ったとこを見た瞬間ぶわっと涙が出てきました･･･その後の2人の行動にも涙が出てきました｡もーこの作品ドラマ化した方がいいと思う笑(真面目に←) (2016年7月31日 23時) (
レス) id: 85e5e6131b (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - おっさやさやさん» そうなんです、変わってしまうかもなんですっ( 笑 )あぁ……どうしよう……まだエンディングを考えていなくて、タラタラ書き続けてしまいそうです( 笑 )ぜひ大事件の方、楽しみにしていただけたら嬉しいですっ( 笑 ) (2015年11月5日 19時) (レス) id: 231a26bcdf (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - yu1さん» たいへんお待たせしました！続編の方出来たので、ぜひ読んであげてくださいっ( 笑 ) (2015年11月5日 19時) (レス) id: 231a26bcdf (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - はーるさん» 本当にありがとうございます！！無事テスト終わりました〜！はーるさんはどうでしたか？( 笑 )続編の方出来たので、ぜひ息抜きがてらに読んであげてくださいっ( 笑 ) (2015年11月5日 19時) (レス) id: 231a26bcdf (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - もこさん» おおお！！すんごく読みたくなってきたよっ！( 笑 )大人買いするぜ〜( 笑 )教えてくれてありがとう！続編できたから、ぜひ読んでね〜！ (2015年11月5日 19時) (レス) id: 231a26bcdf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しょこら
| 作成日時：2015年10月25日 2時
