第13話 ページ13
昼休みになり、 海斗は校舎から外に出て門に向かって歩いていた。蒸し暑さにうんざりしながら近くにどんな飲食店があるだろうかとスマホを取り出そうとしたとき、見覚えのある姿が視界に入った。彼はベンチに座ってイヤホンをつけている。
「あれ、朔弥さん?」
「びっくりした。 海斗くんじゃん」
朔弥がイヤホンを外し、スマホの画面から顔を上げる。
「偶然ですね」
「だね」
イヤホンをケースにしまいながら朔弥がそう答える。
「何聞いてたんですか?」
「ん? ヘビメタ」
「え、意外ですね」
「そうかな?」
落ち着いた雰囲気の彼のことだから、ラジオでも聞いているのだろうと勝手に思っていたが全く違っていた。すると朔弥は思い付いたように提案する。
「もし暇なら今からどこか行こう? 」
「昼ごはんならまだなので、是非」
海斗は頷き朔弥の案内について行った。大学から出て五分ほど歩くと、二人は小さな食堂の暖簾をくぐって行った。どうやらこの食堂が朔弥のおすすめらしい。
「先週のサークル来れなかったっけ?」
「はい」
荷物を下げながら朔弥の問いかけに答える。合宿の説明についてのことだろうかと思っていると、その予想は当たっていた。
「合宿、来る?」
「そうですね、行こうと思ってます」
「おぉ」
朔弥の顔が明るくなる。早くも第一印象とのギャップに驚きつつも、 海斗は話を続けた。
「でも何の説明も受けてなくて」
「え」
朔弥の表情が固まる。水が入ったグラスを置いて少し体を前に傾けた。
「 京ノ介さんから連絡来てない?」
「来てない、です」
「まじか」
「まじです」
「もうすぐ…なのに?」
「もうすぐなのに」
驚きと呆れの両方が混じったような表情をしながら、朔弥はスマホを取り出す。
「せっかくグル作ってたのに何も機能してないと思ったら…まさか 海斗くん個人にも連絡してないなんて」
「意外と抜けてるんですよね、あの人」
そう言って高校生の頃から変わっていないらしい 京ノ介を思い出しながら、思わず笑みを浮かべた。
「説明会で寝坊するし」
そう零す朔弥の淡々とした口調も相まって 海斗はそんなこともありましたね、と笑った。
「あとで 海斗くんにプリントの写真送っとくよ。プリントは多分部室に置いてあるから、取ってきてもいいけど」
「ありがとうございます」
「あと 京ノ介にも言っておくか」
「お叱り…」
談笑しながら昼食を取り、朔弥との仲も少し深まったように感じた。
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タシャ(プロフ) - なつめみくさん» “かいと”です。何となくで設定したんですが、すごい偶然ですね! (2月15日 12時) (レス) id: 6d2c528b25 (このIDを非表示/違反報告)
なつめみく - まって名前変換の俺ってやつ元カレの名前と漢字同じだ!wまぁかいとかうみとどう読むかで変わるけど、、 (10月5日 19時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
タシャ(プロフ) - ゆいさん» すごい偶然ですね笑 閲覧ありがとうございます! (8月7日 22時) (レス) id: 6d2c528b25 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 名前設定した子が丁度サッカー部と吹奏楽部だったから一人で笑っちゃいました( ´∀` ) (8月5日 15時) (レス) @page7 id: c363f38072 (このIDを非表示/違反報告)
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