検索窓
今日:3 hit、昨日:39 hit、合計:7,187 hit

第2話 ページ2

五月に入ったこの時期になると、ほとんどのサークルで新入生を交えた活動が始まる。 海斗の問いに、 恵那は少し言葉を濁した。


「うーん、まぁ、ね。絞った? っていう感じかなぁ」
「どこに絞ったの?」
「オーケストラか合唱、あと天文」


 楽器演奏が好きな 恵那のことだから、音楽系のサークルに入るであろうとは思っていたが、天文サークルを選んだのは意外だった。
 しかし、 恵那の選択を意外に思った 海斗だが彼女が天文サークルを選んだ理由は何となく勘付いていた。


「おぉ、何で天文なんだ?」


 敢えて聞いてしまう弱い自分を 海斗は心の中で責めた。そんな彼の状況を知らない 恵那は、少しはしゃいだ様子で目を光らせる。


「覚えてる?高校のときの先輩の 京ノ介さんって人」


  京ノ介、という名前を聞いて 海斗は表情を曇らせた。

 ——ほら、やっぱり。予想通りだった。


「 京ノ介さん、天文サークル作ったんだって! 作りたてだからまだ人数は少ないらしいんだけれど」


 平然を装って頷く 海斗の表情を見て、 恵那は箸を持った手を止めて少し眉をひそめた。


「その反応…もしかして覚えてないの?」
「いやいや、覚えてるよ。しばらく会ってないなって思っただけ」


 思惑を読み取られたような気がして焦ったが、 恵那には単に 海斗が 京ノ介のことを覚えていないように見えただけらしい。 海斗はこっそりと胸を撫で下ろした。


「天文か。面白そうだな」
「でしょ? そんなに忙しくなさそうだし。 海斗はどうなの?どこか決めた?」
「運動系だったらサッカーかな。まぁ、でもまだ決めてない」
「一緒に天文も入ろうよ! 京ノ介さんもいることだし」


 ね? と手招きの動作をしながら笑う 恵那を見て思わず 海斗の口元が緩む。
 少しでも 恵那と一緒にいたいことや、 京ノ介との接近を懸念していることは口が裂けても言えないが、今の話を聞いて天文サークルに 恵那と一緒に入るアイデアにも少し気持ちが傾いている。


「まぁ、考えておくよ」
「うん!」

 昼食を終えると二人は別々の教室へ向かった。教室に向かいながら、さっきの 恵那の笑顔を思い出して 海斗は俯きながらため息をついた。

第3話→←第1話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
17人がお気に入り
設定タグ:恋愛 , 片思い , 名前変換オリジナル , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

タシャ(プロフ) - なつめみくさん» “かいと”です。何となくで設定したんですが、すごい偶然ですね! (2月15日 12時) (レス) id: 6d2c528b25 (このIDを非表示/違反報告)
なつめみく - まって名前変換の俺ってやつ元カレの名前と漢字同じだ!wまぁかいとかうみとどう読むかで変わるけど、、 (10月5日 19時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
タシャ(プロフ) - ゆいさん» すごい偶然ですね笑 閲覧ありがとうございます! (8月7日 22時) (レス) id: 6d2c528b25 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 名前設定した子が丁度サッカー部と吹奏楽部だったから一人で笑っちゃいました( ´∀` ) (8月5日 15時) (レス) @page7 id: c363f38072 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:タシャ | 作者ホームページ:無いです  
作成日時:2023年7月28日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。