第三話 ページ3
「大日如来は宇宙に存在する万物を生み出す仏の中の王です。つまり、わたくしは宇宙の中心…宇宙に存在するあらゆるものの原動力が大日如来です」
「かっこいー！」
シロが目を輝かせて感嘆する。Aは天国の名物であるアルカイックスマイルを浮かべ、説明を続けた。
「皆さんが知ってる釈迦とか、菩薩に明王、天や大日如来以外の如来は全て大日如来が生み出したんですよ」
「すごい！ねぇねぇ、頭に被ってるのは何？」
興味津々で訊ねてくるシロに、鬼灯も同調して開口する。
「確かに…他の如来とはちょっと違うような気がします」
「あー…これは
「急に現実的だなぁ…」
桃太郎のその発言に、Aは本当に蒸れるんですよ、と答えた。
「要は他の如来と区別をつけるためです。ほら、阿弥陀如来って知ってます？くるくるの髪の毛で頭上にでっかいお団子ヘアみたいなのを作ってる感じの。それに対して大日如来は結ってるだけ…。この宝冠も大日如来の方が豪華です」
「あなたは天国のトップなんですか？それとも桃源郷？」
鬼灯が腕を組んで疑問を呈すと、Aはすぐに言葉を発した。
「確かに、わたくしは天人たちのトップではありますが、必ずしも天国の住人というわけではないんです。智慧を象徴する
ちなみに、胎蔵界にも一人、大日如来がいます。天国っていう括りもできなくはないですが…すみません、この辺は曖昧なんですよ」
「んじゃぁ、とにかく、Aちゃんがいなかったら僕もいなかったってことだね？」
「そうは言っても、わたくしの方が白澤さんより年下ですからそれはないですよ」
Aに肩を回してきた白澤に、そのまま冷静な回答をしていれば、一方の鬼灯は何かを思い出したような表情をした。
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