隣の貴方*4 ページ5
『ふん、取り置き貰っておいてあげる』
「まったく、素直じゃないんだからなあ〜。で、今日はどうしたの? レコーディング?」
『そそ。もう終わったけどすぐ帰んのもアレじゃない』
受け取ったCDをカバンに突っ込んで、琥珀の隣に座る。
横からスッと差し出されたスマホに目を落とすと。
【18時にAtRの動画投稿するよーっヾ(*´ー`*)ノ 今回のも凝ったのじゃ〜 みんなよろしくっ】
ユーザー名、@uni_mafumafu。
私の憧れのユニットの片割れの人。
『……!』
「さ、これ見たんならさっさと家帰ってこの動画待機しときな。どうせ歌うでしょ?」
『当たり前。連絡するまでちゃんと動画見てなさいよ』
慌ただしく荷物を持って、カフェから出る。
琥珀の呆れたようなため息が聞こえたけど、そんなの気にならないくらい舞い上がってた。
るんるんで原宿、竹下通りを急ぎ行く私の目の前に大きめなシルエットが立ち塞がった。
「おねーちゃん、ひとりー?」
なんて典型的なナンパの一言。
しかし急いでいた私は『今急いでるんです』と冷たく放って離れようとした。
「ふーん、その断り方腹立つなあ。よし強制連行!」
『やだって言って……!』
しかし相手は男。ましてや数人でかかってこられては女の私に勝ち目なし。
めんどくさい事に巻き込まれた、と思いながらも無駄な抵抗を試みてみると。
「やだって言ってるじゃないですか」
「男が寄ってたかって何してんの?」
目の前に立つ、長身の男の人。
「あ、なんだ、誰かと思えば……ごめんなさい、僕の彼女です、この子」
有無を言わさず引っ張った彼の名を私はよく、知ってる。
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作者名:孝音 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年8月18日 0時