ただただあなたが好きなんです !2 〜短編集〜

E #5 Mogi「手を繋いで帰ろうか」 ページ32

「Aちゃんのこと好きなんでしょ？」

「Aちゃんの事なんて呼んでるの？」

「Aちゃんの得意料理は〜？」




『あぁ〜もううるさいなぁ！
Aさんなんて興味ないです！』




あっ…。
やっちまった。




俺は茂木栄五郎。一応プロ野球選手ね。

で、さっきから名前があがってるA
ってのはイーグルスの球団職員であり、






俺の彼女でもある。



みんなでご飯食べに来て、
彼女のことをあれこれと聞き出そうと
するチームメイト。



すぐ近くにはAがいる。




のに、なんでそんなしつこいんだ！



実を言うと俺たちの関係は誰も知らない。

なのに、聞き出そうとするから…









Aさんなんて興味ないです





なんて叫んでしまった。




ほんとは心の奥はずっーとAを
気にしてた。



俺は恐る恐るAを見る。




Aが不機嫌に見える。


ヤバイ。
これは…やってしまったぞ⁈








則「えっ何、お前Aちゃん狙ってんの？」




俺が心の中で猛烈に焦ってる中


なんで、この人はこんなこと聞いてくるかな！






『だっ、だから興味ないですからっ』





俺がそう言い切るとAはついに



“用事あるんで帰ります。"と





お店をを出て行ってしまった。






絶対嘘〜！



俺はすぐに後を追いかける。







チームメイトはその展開に驚いて


まずいこと言っちゃったのか？




と顔を見合わせている。







『あぁーっ、もう！』







真っ暗なはずの外はネオンの看板や
街頭で明るく照らされていて、
そこに見える小さな背中。









『Aっ！』



『ちょっと待って』





急いで追いかけて名前を呼ぶも
全く振り向いてくれない。



道を渡るとき、いつもより早足な気がした。

俺は気になってAの顔をよく見た。





まさか…泣いてる？



もう！話くらい聞いてくれよ！








こんなことになるなら皆に付き合ってるってこともっと早くに言っておけば良かった。



俺のつまらぬ照れ隠しでさっきだって嘘ついた。





Aは俺の立場を考えて、
俺から皆に付き合ってるの言うこと待ってた。






ただの照れ隠しでAを
傷つけたのなら家に帰る前に
罪滅ぼしさせて！

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