【 25 】柴又女子大生放火殺人事件 ページ25
【 25 】
「 あれは何? 」
「 [柴又女子大生放火殺人事件]の情報収集じゃないか?ここら辺の民家で事件があったんだ。今から25年前の未解決事件だ。 」
冬休み。
大学受験が控えていると言うのに、ボクはひとりで東京に旅に出た。
心にはゴウトがいるから、実質ふたり旅。
「 1996年9月9日、民家で火災が発生。焼け跡から上智大学4年生の女子大生の遺体が発見。被害者は2日後にアメリカへの海外留学を控えていたみたい。遺体は口と両手を粘着テープで、両足をパンティーストッキングで縛られており、首を鋭利な刃物で刺されていたそう。両足の縛り方が[からげ結び]という特殊な方法だったことが公開されたみたいだよ。事件の現場である被害者宅の建物は現在存在しないが、跡地には被害者の名前をつけた地蔵が祀られているみたいだ。 」
「 Wikipedia? 」
「 そうそう。」
ボク達は亀有駅をウロウロした。
遺族が配っていたポスターを受け取り、それをまじまじと見詰める。
「 普通の女の子なのに。どうして殺されないといけなかったんだろう。 」
「 顔見知りの犯行が疑われていたみたい。あとはストーカー。 」
「 どうして顔見知りの犯行だと思われていたの? 」
「 父親が普段使用していたスリッパが使われた形跡があったから。因みに父親は単身赴任で、家では母と姉と被害者で暮らしていたらしい。 」
ボクは声を小さくしながら話す。
ゴウトの声も小さくしてもらった。
周りから異様な目で見られている事に、最近やっと気付いたのだ。
「 留学したかったんだろうね。 」
「 そうだな。悔しいだろうな。 」
「 エミさんとは別れるの? 」
ギクリ。
その話はタブーだ。
「 分からない。お互いに好きだから。 」
「 でもロシアに行かないんだったら別れた方がいいんじゃないの?遠距離でやっていくって事は、その先までしっかり考えているかって事だよ。結婚は?同棲は?何も考えてないんだったら、別れた方がいいんじゃない? 」
ゴウトはいつだって正しい事しか言わない。
だからボクもそうするべきなのだとは思った。
でもゴウトは道徳を知らない。
「 考えてない。だけど一緒にいたい。これが恋なんだよ、ゴウト。効率が全てじゃない。分かってくれる? 」
「 うーん。そうなんだ。じゃあ、そうでいいや。 」
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:七瀬 波子 | 作成日時:2021年10月18日 7時