検索窓
今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:1,187 hit

【 20 】真相 ページ20

【 20 】
 
 
 遠くからサイレンの音がした。
 ボクはゴウトに緑のカーディガンを渡される。
 それすら着る気になれなくて、ただ死んでいく彼を見詰めていた。
 何が間違いで、何が正しいか分かりたくなかったから。
 
 
 @
 
 
 「 つまり、真犯人は目立ちたかったんかな。別人を犯人にした手上げた技術を、褒めて欲しかったんかもね。承認欲求の塊やったって訳か。 」
 
 
 ボクの手を優しく握るエミさんは、さっきから何も言えないボクに気を遣っている様子だった。
 
 
 「 それにしても、ほんまに災難やったな。もっと早くに俺が気付いていたら、きっと彼は生きていたのかも。 」
 
 
 悔しそうに拳を膝に載せたエミさん。
 LINEに気付いてくれて通報してくれたのもエミさんだった。
 
 
 「 最近、こんなんばっかやね。巻き込まれるにも程がある。大丈夫? 」
 
 
 ボクは青い唇を上手く動かせなくて、頷いて示した。
 エミさんも頷いて、警察署には沈黙が宿る。
 
 
 「 警察はどうするんやろね、これから。 」
 
 
 ボクはまた頷いた。
 そしてゴウトを思い出す。
 ゴウトはあの後、どうしたのだろう。
 
 
 「 ボクと一緒に居た女の子は? 」
 「 女の子……?居なかったけど、そんな子。 」
 
 
 じゃあ、ゴウトは帰ったのかもしれない。
 タフな子だから、警察の聴取が面倒臭くなったのかもしれない。
 

 「 そうや、ずっと気になってたんやけど。Aさん、最近ひとりで話しとるよね。 」
 「 ひとり? 」
 「 何も無い空間に話し掛けてたりするやん。誰も居ないのに会話してるみたい。だから不思議やったんよ。どうかしちゃったんかと思って。 」
 
 
 ゾワゾワして鳥肌が立ち、背筋が凍った。
 大事な何かを見落としていた様な嫌な感覚は、ボクを逃がさない。
 
 
 「 例えば? 」
 「 今日。防犯カメラを見させて貰ったんやけど、Aさんひとりだったで。女の子も居らんかった。だけど声が変わったり、表情がまるで別人みたいになっとる。凄く不思議な光景やったんよ。 」
 
 
 ボクは震えが止まらない自分を抱き締めた。
 
 
 @
 
 
 伊東市干物店強盗殺人事件は実在する事件です。
 被告人は死刑判決をされましたが、無罪を主張しています。
 今回の真犯人はあくまで創作上のモノです。
 是非、実際の事件を調べてみてください。

【 21 】高橋お伝→←【 19 】おわらない



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
設定タグ:夢小説 , wrwrd! , em
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:七瀬 波子 | 作成日時:2021年10月18日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。