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｢手、離してください。本当に人違いだったら、どうしたんですか？目黒さん｣
もう諦めて早くお引き取り願おうと思い、仕方なしに認める
もうあの頃みたいに敬語もなしで下の名前を呼べる程、わたしの神経は図太くなくて、敬語に苗字呼びをした
｢ごめん。だけど、自分の好きな人は絶対にわかるもんだよ｣
眉を下げて力無げに微笑む
わたしはそっと解放された手でお洋服を袋にさっと詰めた
今更何を言ってるんだ
｢Aに話がある｣
｢わたしは話すことありません｣
｢ね、お願い｣
あ、懐かしい顔してる
頼み事する時にする、仔犬みたいな顔
わたしはどうしてもこの顔に弱く、当時はつい頷いていたのを思い出す
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作者名：優夛 | 作成日時：2022年11月29日 0時
