16話 ページ17
Aside
「(とは言っても、根本的に解決なんて無理だな。)」
朝、清々し過ぎてむしろイラつきさえ覚える青空の下で悩みながら登校していた。
一ノ瀬彼方の弱みを握る為に必要な事を、ノートに書き出そうとしたが全く出てこなかった。
でもよく考えたら、完璧王子と呼ばれる理由の一つとして、内面を見せないとかあった気がする。
あのドSが内面なのか、それとも他の面を持っているのか。
なんにせよ、手がかり?はゼロ、強制的にだけど付き合う事になった訳だし、地道に弱みを握るか。
よし、と意気込んだ次の瞬間。
「おはようA。」
「…………。」
見事な遭遇率。
「聞いてる?おはよう。」
「おはようございます、名前呼びやめてくんない?」
「拒否権ないよ。」
「ちっ……。」
なんて事だ、朝っぱらからこの顔を見るなんて。
会いたくない人物ランキング1位のドS野郎、またの名を王子もどき、またの名をクソと言う。
「最悪って感じの顔だね。」
「逆に最悪以外に何があるの。」
「まぁまぁ、俺はAに会えて嬉しいよ。」
「私は嫌い。」
とりあえず素っ気なく返す、これが元々の自分だし、悪い意味で楽だ。
「ほら、うちの学校の生徒が居るよ。」
「さりげなく手を繋がないで。」
「恋人繋ぎだよ、人に見られてるなら、いくらAでも振り解けないでしょ?」
「……。」
勘違いをされる→実は勘違いじゃない→公認カップルになりますます一ノ瀬彼方はイチャついてくる。
勘 弁 し て 。
何が悲しくてコイツとイチャイチャしなくちゃいけないのだろう。
私のウザがられない天然ぶりっ子という目標はすぐに折れそうだ。
「話してないと怪しまれちゃうし、何か話そっか。」
「……彼方君は私の事どこまで知ってるの?」
声を高めにしながら聞く。
一ノ瀬彼方の言う通り、話してないのに付き合っているなんて状況、怪しまれるに違いないから。
「そうだねー…不良グループに居たこと。何かがきっかけで不良グループに居るのが嫌になったこと。丁度その時に母親が離婚して、家庭の事情がスッキリしたから第2の青春を送ろうとしたこと。さっき言った“何か”って言うのは実は……。」
一ノ瀬彼方はダラダラと私の黒歴史を話し、最後はその言葉で途切れた。
「その“何か”の事、知ってるの?」
「……さぁね。」
はぐらかされた。
「ほら、学校着くよ、騒がれる心の準備でもしてね。」
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ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2021年2月11日 3時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あめあめ - カノカさん» 何考えてるんですかねー…w更新頑張ります… (2019年9月3日 21時) (レス) id: ff02591f43 (このIDを非表示/違反報告)
カノカ(プロフ) - 続き楽しみにしてます、そらるさん何考えてるのか気になりますね..... (2019年9月3日 12時) (レス) id: 603037602e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あめあめ | 作成日時:2019年8月30日 19時