救済 ページ28
炎に、別の炎が重なって
アズがぶっ飛んだ
いや
アズの姿をした、なにかが
アズ？「ぐぅっ…！」
アズ「私の…ッ
私の、愛人にッ…！
手を出すなど、言語道断ッ！」
クレシア「…ぁ……」
熱い、目
本気の、言葉
クレシア「…ァ…ズ…」
あぁ…本物だ…
アズ「目を覚ませ！クレシア！
アレは、魔獣だ！」
幻覚のアズが消えて、
傷を負い苦しむ魔獣だ
魔獣「グルル…ｶﾞｩｶﾞｧｧｧ！！！」
クレシア「………っ！」
俺が編み出した、新技…
クレシア「
水魔術を上にし、
水面を作る ソコから…
数多の、鏡の槍
魔獣「ｸﾞｷﾞｬｧｧｧｱ！！！」
アズ「…よし…！」
クレシア「あず、アズ…、
名前、呼んで…も…っと…
ガハッ！」
俺は、血を吐く
腹を直すのを忘れていた
その血は 欠片…
血鏡の欠片になり、地面に降り注ぐ
アズ「…かけら…か？」
アズが触ろうとする
クレシア「だ、め！
それ…俺以外さわったら…
必ず傷が…付いちまう…！」
腹をなんとか治そうと、焦って魔力を注ぐが
うまく行かず、また血がこぼれ落ちる
クレシア「はぁー…はぁー…」
俺は、血鏡の破片を
固めて、形を変えて
自分専用の、鎌の武器
「
を作り、そばに置く
また、治そうとする
割れるのは遅いが、苦しくなってきた
アズ「クレシア
…抑え込むな、といっただろう」
後ろから、アズが抱きしめて
手を重ねる
魔力が、安定してきた
苦しいのが、取れてくる
クレシア「温かい…」
あの、冷徹なアズの目も
罵詈雑言も
縁を切る話も
暴力も
全部全部、偽物
いま…俺を抱きしめている
アズこそが、本物だ
クレシア「ッ…
アズ…俺の名前、呼んで……
…アズって呼んでもいいよな？
お荷物…かもしれないけど
見捨てたり……なんて」
まだ、動転してんのか
涙と血、声がいつの間にか入り混じり
ヒューヒューって、言ってる
アズ「…みすてる？
私が？クレシアを？
…ふっ…何を言い出すかと思えば…
見捨てるわけがないだろう
クレシア、お前は
私が…、心から側にいられる
ステディなのだから
お荷物なんて、誰が言うか
何を見ていたかはしらんが…
泣かせるような真似は、絶対にしない」
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作者名：ライグリール | 作成日時：2022年10月19日 15時
