狼鉢合わせ ページ22
サラ「…ふー…」
ガチャガチャ、と食器を洗う。
毒を洗い流して…
…………なんか作ろうかな…
どうせ、誰も殺す気はないし…
卵あるかな…あ、ケチャップとご飯…
……オムライス…
……母さん…
…やめよう、変に思い出すと気持ち悪くなる
…でも…
おなかすいたぁ…
カチャカチャカチャ…ぼっ！
…しゃかしゃか…
サトル「…いい匂いがするね」
サラ「…サトルさん」
サトル「オムライスかい？」
サラ「…ええ。……サトルさんも、食べますか？」
サトル「…折角なら…いただこうかな」
サラ「…ふふ…いいですよ」
サトル「(………声が、安定している。
目も、とても澄んで……って、何考えてるんだ私は)」
サラ「……ん…よし。
どうぞ、サトルさん」
サトル「…ありがとう。」
食べるところを取るのも、なかなか命に関わる。
何故か私は狼なのにそんなことを思いながら
二人で、オムライスを食べる。
サラ「……サトルさん、今回の狼…誰だと思いますか？」
サトル「んぐっ！！
…げほっ…げほ…」
サラ「きゃっ…サトルさん、大丈夫…ですか？」
サトル「…ああ…大丈夫…。
…サラちゃんは…誰だと思っているんだい？」
サラ「…、すみません…」
かちゃり、と食器を置いた。
サラ「……ここまで…カードを引いてから…
皆さんの声を聞きました…
だけど………
……サトルさんしか、考えられないんです」
サトル「…！？」
サラ「………わかり易すぎるんです…
…声が、優しいから…
騙そうとしても、すぐに分かってしまう…」
サトル「…褒めているのか？貶してるのかい？」
サラ「…ほめてます…」
サトル「…狼だったとして…
どうする？」
サラ「……。別段。
抵抗もしないですよ…
私、普通の…人より…非力ですし。」
サトル「………」
サラ「…でも…もし、狼が二人なら…
…なんちゃって。
わたしもわからないほど…だましてるひとがいるのかも。」
サトル「………サラちゃん」
かたん、と水の入ったコップを置くと…
ぽつり、と…
サトル「……ユウヤくん…が、私に話に来たよ。」
サラ「……。へ！？」
てっきり私のとこだけに来たと思っていたのに。
サトル「…サラちゃんを、よろしくなんて言われてしまったよ。」
サラ「…ユウヤ……何考えてるの…
夢枕にまで立って…！！」
サトル「は…はは……」
サラ「…私のせいで、成仏できてなかったりして」
サトル「…かもしれないねえ」
サラ「ちょ」
サトル「…ふふ」
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作者名：ライグリール | 作成日時：2024年2月22日 17時
