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3話 ページ4

『…丁、さよなら』


まだ眠っている丁にそっと口付ける。
大丈夫、これで丁は俺の事を忘れる。

これでいい。

丁が苦しむ必要などないのだから。





丁side…


今日は雨乞いの儀式があるらしい。

生贄が滝壺に身を投げ神様にその身を捧げることで雨を降らせる。

滝壺の周りには人が集まり頭を下げている。

生贄に選ばれた男は見たこともない村人で白い装束に身を包み、手には真っ赤な彼岸花を一輪持っていた。


(俺はこの花が好きなんだ)


突然頭の中に誰かの声が響いた。


何かが胸をつかえるような違和感。

どうして…


生贄の男は滝壺の淵に立った。
その時一瞬目が合った。

どうして…


知らないはずなのに


どうして…


どうして…



男は穏やかな表情でゆっくりと目を閉じ、滝壺に身を投げた。


丁「…っ!」


どうして…

涙が出て来るんだろう。







Aside…





ねぇ、どうしたの

どうしてこんなところにいるの




声が聞こえる。
それに答えたくても身体は動いてくれない。
寒い…苦しい…
頬に落ちる水滴。
あぁ、もしかして泣いてるのか…?



起きてよ、ねぇ



無理だよ。
俺は死ぬんだから。



あぁ、可哀想に…

大丈夫、僕が助けてあげる



誰かの体温、
抱きしめられてるのか…。
そして唇に柔らかい感触。
そしてそこから流し込まれる熱い何か。
あぁ、熱い。

目をゆっくり開くと目の前には涙を流しながら俺に口付ける男がいた。

ただ、男には2本の角が生え、額には目のような模様が朱色で描かれている。
綺麗な涙を流すその姿は神秘的な光景に見えた。


「大丈夫…っもう大丈夫だからね」


神様…どうしてそんなに泣いているのですか。

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漆葉。( ˙?˙ )(プロフ) - わー!更新されてる!!嬉しすぎます! (2020年5月3日 23時) (レス) id: 1e58b4920f (このIDを非表示/違反報告)
暁降ち - 頑張って作ってください。続き、読みたいです。 (2018年12月10日 21時) (レス) id: f9296273ad (このIDを非表示/違反報告)
鬼月 - 更新待ってます!頑張ってください! (2018年2月14日 15時) (レス) id: e3edace585 (このIDを非表示/違反報告)
ギオ(プロフ) - 男主がイケメン過ぎて…続き楽しみにしてます!! (2018年2月10日 22時) (携帯から) (レス) id: 6572e8ab81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もん(mon) | 作成日時:2018年2月6日 23時

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