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中二の頃わたしがどれだけこうされたかったか、彼は知っているんだろうか。
2年も経てば人は変わる。学校が変わって環境が変わる。先生が変わる。
もちろん大倉に対する気持ちだって変わった。
｢離して…｣
今抱きしめて欲しいのは大倉じゃない。
今頭を撫でて欲しいのは大倉じゃない。
｢いや。｣
大倉の腕に、ぎゅっと力がこもる。
離れようと大倉の胸を押しても、少し力を入れただけで諦めた。動く気がしなくて。
｢なんで？…今までこんなこと、したことなかったじゃん｣
｢なんでやろね？｣
クスリと笑いを含んだ大倉の言葉が、勢いよく聞こえた車のドアを閉める音でかき消された。
.
｢なにを他の男に抱かれてんねん、｣
.
鳥肌がたった。
来てくれた。わたしを見つけてくれた。
見られてしまった。大倉に抱きしめられてるところを。
2つの思考が交錯して、大倉のおかげで少しも寒くないのに震えが止まらなくなる。
わたしは今すぐに離れてほしいのに、大倉の腕はさらにきつく巻きついてきた。
｢今日は帰るの早いですね、渋谷先生｣
渋谷先生は、今どんな顔をしているの？
大倉はくるりと体を回転させて、庇うように渋谷先生からわたしを隠す。
｢大倉、邪魔。どいて。｣
さっきより近づいた先生の声に、手にぐっと力がこもった。
｢俺がAを解放したら、渋谷先生はどうしたいですか？｣
｢＿＿＿なに、｣
｢頭を撫でたいですか？ 抱きしめたいですか？ チューしたいですか？｣
大倉の鼓動と息と声が、どんどん早くなる。
｢こんな開けた道で？ ここは通学路ですよ生徒がうじゃうじゃいる。俺みたいのに彼女が捕まってても何も言えないしできない。｣
言葉が刺さって、血に交じる。
わからなかった。どうして大倉がそんなに言うのか。
｢たしかに俺は、大倉みたいにずっと一緒にいたり周りの人にお祝いされたりっていうのは無理やで。勝手に抱かれてても、俺のやぞなんて言えないのはしんどい。｣
そんなの望んでない。一緒に居れればそれでいい。
わたしの声は喉の裏で消えていく。
｢でもAが抱きしめて欲しいのは、二年前にヘマしたお前じゃないことは明らかやろ？｣
大倉の腕が、力なく落ちた。
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吉田マーメイド(プロフ) - ガトーショコラさん» 嬉しいです、ありがとうございます！ 更新頑張ります！！ (2018年2月24日 21時) (
レス) id: 9ba4e3874c (このIDを非表示/違反報告)
ガトーショコラ - 応援してます！がんばってください！ (2018年2月21日 7時) (レス) id: f84bf72a85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田マーメイド | 作成日時：2018年1月31日 21時
