【呪術廻戦】呪い愛はお好き？【短編集】

義理チョコ【加茂憲紀】 ページ5

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「 え、バレンタインあげないの？ 」

「 あげるわけないでしょ。義理でもごめんよ。 」

「流石に東堂くんにも加茂くんにもあげたいとは思わないかな。 」



夜の食堂で真衣と桃としている会話は数日後のバレンタインについて。
生憎三輪ちゃんは居らず、彼女はきっとメカ丸に対してこの二人から何か仕組まれそうな予感がした。




「 …うーん、ま、いっか。 」


市販のものでもあげておけば何とかなるだろうと、怖いもの知らずの私の勘が耳打ちした。








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「 へ？今なんと？ 」

「 …二度は言わないぞ。なんだそれは義理か？ 」





"それは義理か？"





市販の少しお高めのチョコを買って加茂さんに渡せばこの反応。
後で東堂さんにも渡しに行かないといけないと思うと今の状況がひどく苦しい。




「 日頃の感謝も兼ねてバレンタインチョコです。何も言わずに受け取ってください。 」

「 …先に言っておく。義理なら受けとらない。 」




このチョコ高かったのに、とつい本音が出そうになる。





「 じゃあ、要らないんですか？東堂さんに渡しますね？ 」

「 …いや。 」



グッと距離縮められ、私がチョコを持つ手の手首を握られる。
いつも閉じている瞳が、ゆっくりと開く。はじめて加茂さんとちゃんと目があって、視線を外せない。





「 …本命以外は受け取らない。義理か本命かハッキリしろ。しないなら東堂にも渡さなくていい。 」

「 エッ。いや、その。 」


「 本命かと聞いているんだ。答える以外はない。 」



さらに強く力をかけられ、私の手首がミシミシと音を立てそうでならなかった。
チョコを持つ手に力が入らない。



「 加茂さんはなんで義理だと受け取ってもらえないんですか？ 」


「 …好意を寄せている人間から義理だと言って、チョコをもらってしまえばそれはもう叶わない恋になるだろう？



生憎私は、心が広くないものでね。 」









ほら、渡したいんだろう？








「 さ、はやくしろ。 」








何を考えているのかわからないその笑みにゾクリとした。




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