花一匁【伏黒甚爾】 ページ24
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「 おとうさん、そのひとだあれ？ 」
たまにしか家に帰ってこない鉄臭い父と、父ではない男を取っ替え引っ替えしている母との間に生まれた私は久々に帰宅した父に問いかけた。
玄関先に立っている男は黒髪で狼みたいな男だったと記憶している。
「 A、ただいま。この人は父さんのお仕事仲間だよ。禪院さんって呼んであげて。 」
「 わかった！ゼンインさん、よろしくね！ 」
父の所まで駆け寄って、二人を見上げた私に冷たく刺さるあの瞳。
怖くていまだに忘れることができない。
だけれど、齢7歳の私には体験したことのなかった恐怖という名の刺激だった。ひどく興奮した。かっこよかったのだ。
だけど、私が彼に冷たい目を向けられたのはあの時一度きりだった。
「 ゼンインさんって、下の名前なんていうの？ 」
「 甚爾だ、とうじ。おまえは、Aだったか？いい名前を付けられたもんだな。 」
「 ふふっ、父さんが付けてくれたんだよ。 」
「 そうか。 」
暫く私の家に滞在している時もあれば、数ヶ月から半年顔を見ない時もあった。そんな彼は善人の優しい顔だった。
少し不自然なような、不気味なような。
全く怖いと感じられなかった。
「 禪院さん。あのね、私父さんに聞けないから禪院さんに聞きたいことがあるの。いい？ 」
「 …なんだよ。 」
10歳になった私はどうしても彼に近づきたくて、必死に背伸びをした。
彼を知りたい、私のことをもっと知って欲しい、もっと関わりたい。そういう思いでいっぱいだった。
「 父さんと禪院さんは何のお仕事をしているの？ 」
「 あー、言っていいんだっけ。まあいっか。 」
いつもの気怠げな瞳は珍しく私を捉えた。彼のその何事にも楽観視しているようなその目。
「 …ちょっと大人なアブナイことやってんだ。 」
「 へ、 」
そう言ってデコピンをされた。
「 あでっ、 」
「 ガキはまだ知らなくていいんだよ。 」
口元の傷が映えるほど、やけに笑みが深かった。
また、見惚れてしまって頬に熱が集まるのがわかった。
でも、そんな甘酸っぱいのも消え去った。
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麦芽糖(プロフ) - 舞香さん» ありがとうございます！更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！ (2021年2月17日 9時) (
レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
舞香(プロフ) - め、めちゃくちゃ好きです……！こういうのを求めてました…！これからも頑張ってください、応援してます！！ (2021年2月16日 21時) (レス) id: 26fd9ad117 (このIDを非表示/違反報告)
麦芽糖(プロフ) - yuunaさん» リクエストありがとうございます。また書けそうでしたら書きますので、しばらくはリクエスト停止させていただきます。いつも読んでくださりありがとうございます(^^) (2021年2月16日 19時) (レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna(プロフ) - とても面白かったです！またリクエスト失礼します！高専五条がメンヘラで一般人夢主が文ストの太宰治みたいな性格で浮気性なのが見てみたいです！！ (2021年2月16日 19時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - ナナミンがメンヘラ見たいです (2021年2月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：麦芽糖 x他1人 | 作成日時：2021年2月15日 7時
