Pseudo romance (ページ10)

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#9 ページ10

「ねぇヒョンと僕だけが撮影やり直しなんだって」

「.......なんで？」

「さぁ？.......さっき揉めてたから、なんかあったのかも。ジミン氏！」

「いぇーJK。頑張れよ、これから撮影でしょ？」

「あーうん、そうなんだけど。なんで？」

「.......ナムヒョンが言ってたんだけど、キャストを変えて撮影したいって言ったんだって、ナンシーさんが」

「え！、それどういうこと？」

「だから、テヒョンと(人1)さん、JKとナンシーさんだったのを交代するんだと。ほら.......元々ナンシーさんはテヒョンのこと」

「…テヒョンヒョンは知ってるの？」

「さぁ？.....あーあ、退勤はまだまだだね笑」

「.......ちょ、なんか怒ってない？ヒョン」

「.....じゃあ僕はこれで。ジョングガふぁいてぃん！」

テヒョンside

「俺ならいいものがまた撮れる？！あの作品は(人1)だから撮れたものだ。代役にした所で意味が無い」

「テヒョンさん、落ち着いて下さい」

何故こんなムキになっているのか、メンバーもスタッフも皆が同じことを思っているだろう。

今までどんな仕事も我慢してひたむきに取り組んできた。もっと酷い仕事だって笑顔を見せてきたんだが、

この結果には、どうも納得行かない、何かがあった。

それなりに覚悟があって挑んだ作品というわけでもないし、彼女に特別な感情があるというわけでもないのに。

(人1)がカメラの先で見せた笑顔が忘れられなくて。頭から離れなくて。おかしいかな、どうにかして守りたかった。

それだけ、……それだけ。

「テヒョンよろしくお願いします！」

「……っ」

所詮、俺の勝手な理由は大人によって言いくるめられ潰されて。上の人の命令だからって腐った顔で強請られる。

どいつもこいつも。何がいい作品を作ろうだ。

中身の違う衣装が、憎らしく見えてきた。