Pseudo romance (ページ34)

今日:8 hit、昨日:11 hit、合計:362,159 hit

#33 ページ34

兎に角、考える間もなく私は逃げる選択を選んだ。

ただ周りには何倍も慎重になって。物音を立てないように、ゆっくりと出入口へと向かう。その時やっと携帯のロック解除ができたものの＿＿＿＿肝心の電波がない。

しかも唯一の助け舟だったがドアは頑丈に施錠されている。

来る前に感じた恐怖が現実に起こっていることにもっと早く気づくべきだった。

『…ティアラ』

そう言えば、友達になれた彼女は何処？自分の身ばかり心配してる場合じゃないことにやっと気づいて。

私は助けなきゃと謎の勇気に満ち溢れた。

薄暗い中での行為の最中、一人一人の顔を確認するのは嫌だけど。きっと私と同じ。こうなるとは思わなかっただろうから。好きでもない人に抱かれてる友達の涙を見てられない。

『！ティア、＿＿｢つーかーまーえーた｣

『！……いや！！』

｢探したよー、なんで逃げるの？一緒に気持ちよくなろうよ｣

『離して！！』

｢はいはい。もう逃げられないよ｣

ティアラの服を見つけた、その瞬間。背後から大きな体に拘束されて嫌がる私なんてお構い無しに触られる。暗いから誰だか分からないけれど、首筋に生暖かい感触。大きな声を出して抵抗した。

｢ちょ、暴れすぎwww｣

｢ジンくーん、もうその子いいから。こっちおいで？｣

｢……はぁ。うん、行く！｣

助かった、＿＿＿＿わけではないらしい。数人のメンバーと目が合って、まだ尚伸びてくる腕を振り払い、慌てて奥の方へ逃げ込んだ。

肝心のティアラは、＿＿＿＿あの時。一瞬だけ彼女の表情を見たが、彼女は彼女で。行為に夢中になっていたように思った。

私の心配は無駄だったんだ。

そんなことでショックを受けてる場合じゃない。隠れる場所を求めて、迷いながらもベッドルームについた。そこには大きなウォークインクローゼットがあって。

隠れるには絶好な場所に飛び込んだのはいいが、神経が研ぎ澄まされている私は、異変にすぐ気づく。