今世こそは弟を守り抜く……守り抜きたかったのになぁ「鬼滅の刃」 (ページ6)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:25,620 hit

四話ページ6

――あれからしばらく、家族が目を覚ます事はなかった。

幸いなのかどうかはよく分からないが死んだ訳では無い。ただ、目を覚まさないんだ。

普段使われる部屋とは別の部屋に寝かして貰っている。母さん達の寝顔はみんな気持ちよさそうで、朝日の昇りと共に「おはよう、」なんて急に言ってくれるんじゃないか、とか数日間は期待したけど無駄だった。

この屋敷の主でいて、鬼殺隊の柱をしていると言う胡蝶しのぶさん。

彼女にこれからどうすれば良いか聞いたら継子はいるし女所帯だけどそれでも平気なら特別に訓練を付けてくれるそうだ。衣食住の保証付きで。

今の身体では、他の男のように刀を振り回したりする長期戦は無理だから、胡蝶さんのような軽やかでいて、的確に急所を与えていく戦法はまさに今の俺にはピッタリだった。

とは言っても基礎体力くらいは必要だから一年くらいは運動、運動、運動、に尽きるんだけどね。

「はぁっはぁ……はぁー」

初めこそは意気込んで、猛ダッシュをしていたが数分もすればこの調子だ。

縁側で既にへばっている。継子のカナヲさんは何も話してはくれないけれど、その目に「こんな事でへばるなんてダサい」と映っているように感じた。

いや、本当に気のせいなだけなんだろうけど、それでも隣からの視線は痛い。

「仕方が無い……これも彼奴のためだ」

両頬をペチンと叩いてもう一度走り出した。

――しかしまた、五分もしないうちにへばってしまったが。